Yahoo!ニュース

カシメロ撃破に自信あり 元世界王者の小國以載が大一番に望む

木村悠元ボクシング世界チャンピオン

ボクシング元IBF世界スーパーバンタム級王者小國以載(35=角海老宝石)が、10月12日、元世界3階級制覇王者のジョンリエル・カシメロ(33=フィリピン)と東京・有明アリーナで対戦する。

試合は「TREASURE BOXING PROMOTION4」のメインイベント、スーパーバンタム級10回戦で行われる。

カシメロと対戦について

小國は昨年12月、韓国でのカシメロVS赤穂戦を現地観戦したようだ。

その試合では、カシメロのパンチが後頭部にヒットしたことで、赤穂が試合続行不可能となり、一時ノーコンテストとなった。

しかし、後頭部への打撃が試合続行不可能になった原因ではないと判断され、後日カシメロのKO勝利に変更された。

小國に生で見たカシメロの印象について聞くと「正直やばいなと思いました。計量からオーラがあって野生的で、飼い慣らされていないライオンのようでしたね」と振り返った。

映像と現地観戦では印象が違ったようで「スピードも想像以上でめちゃくちゃ強い。びびって萎縮したら負けます」と警戒を強めている。

しかし、十分に勝機はあると語った小國。

「後半に行けば勝率は上がります。なので、5ラウンドまでが勝負。それまでできるだけダメージをもらわないようにする。5回終了時にどこまで余力が残っているかが鍵となりそうです」

どうやら後半で勝負をしかけるようだ。ハードパンチャーのカシメロは前半に強いが、終盤になれば付け入る隙も生まれるだろう。

5月に行われた試合では、6回にカシメロがダウンを奪ったが、スタミナ切れによりKOで仕留めきれなかった。

また、詳細は明かさなかったがカシメロ対策として、7つの秘策があるとも語っていた。小國がどんな展開に持っていくのかに注目だ。

キャリア最大のビッグマッチ

試合に向けて「勝たないといけないのでどこかでダウンを取りたい。カシメロが舐めてきたら良い勝負ができる。何がなんでも勝ちたい」と意気込みを語った小國。

世界初挑戦で当時無敗のジョナサン・グスマンに勝利し、IBF世界スーパーバンタム王者となった。

しかし、初防衛で元世界王者の岩佐亮佑に敗れベルトを失った。その後、再起するも3年以上のブランクを経験している。

年齢も35歳を迎え、いつ引退してもおかしくない状況だったがジムに通い続けた。加えて、長い間怪我にも悩まされてきた。

「実は現役の途中から、ずっと右手が痛くて打てなかったんです。そのため左一本で戦っていました」

痛みを抱えながら左を軸に戦い、世界戦でも右手はほとんど使えなかった。一昨年には練習中に右手を脱臼したことで、一切使えなくなった期間もあった。

ハンデを抱えながら戦ってきたが、現在は手術し完治した。数年ぶりに完全な状態でリングに上がれることで、パフォーマンスも格段に良くなるだろう。

今回の試合に勝利すれば、スーパーバンタム級トップ戦線への足がかりとなる。

この階級のトップに君臨するWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)と、WBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)は、12月に4団体王座統一戦が予定されている。

その勝者との対戦も十分にあり得る。カシメロを撃破して、再びこの階級で頭角を現してほしい。

試合は、12日16:00~U-NEXTにて独占ライブ配信される。

写真撮影 著者
写真撮影 著者

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事