日本代表&ホンダのレメキ ロマノ ラヴァ、戦列復帰→フル回転で伝える感謝。【ラグビー旬な一問一答】
問答無用で壁を突き抜けるのが、レメキ ロマノ ラヴァだ。
2014年に日本国籍を取得したニュージーランド出身の28歳で、16年夏にはオリンピックリオデジャネイロ大会の男子7人制ラグビー日本代表として4位入賞を果たす。間もなく15人制の日本代表にも呼ばれ、同代表とリンクするサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦)にも加わる見通しだった。
しかし、好事魔多し。昨秋の日本代表ツアーで故障し、以後は約1年間の戦線離脱を余儀なくされた。リハビリのさなかはもやもやを抱えていただろう。
復帰後は日本代表にも復帰し、今年11月はテストマッチ(国際真剣勝負)3試合に出場して2トライを挙げる。そして12月17日は、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場でトップリーグ昇格をかけたトップチャレンジリーグ・セカンドステージAグループ第2戦目に先発。ホンダのウイングとして2トライを決め、三菱重工相模原を53―8で下した。
シーズン終了後の来年2月からはサンウルブズに参戦という過密日程下、どうコンディションを整えているだろうか。
自信満々のランナーがこの問いに出した答えは、周囲のスタッフへの感謝の声だった。
以下、試合後の単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――過密日程下、コンディションはいかがですか。
「大丈夫。全然、大丈夫。去年は怪我して、1年間レスト。だから、いまはメンタルも元気。今日の試合はフルバックのエイダン・トゥアが『(状態が)タイトだから』って交代して、俺もそれをアピールしたけど交代なし! …でも、怪我も何もない。元気」
――普段のケアは欠かせない。
「いつもお風呂、アイスバスにも入っているし、(目の前を通るのを見て)いつも高橋さん(啓チーフトレーナー)が週に2~3回ぐらい俺にマッサージしてくれるから」
――試合でベストパフォーマンスを出すために…。
「俺、チームのなかでも、フィットネス(持久力)がある方。だから全体練習が終わった後に走ろうとしたら、JPさんに『終わり、終わり!』と言われて。で、(全体練習などで)走り過ぎたら『ウェイトはナシ。帰ろう、帰ろう』と。だから、試合ではめっちゃ元気。去年なんかは、毎回、100パーセントでやっていたけど…。今年はJPさんが入って、皆が強くなっている」
レメキが紹介した「JP」ことホンダの奥野純平ヘッドストレングス&コンディショニングコーチは、昨季までトップリーグのNTTコムでストレングス強化に従事。新天地でも「力任せにやっていたところを、より(各選手の身体能力の)ポテンシャルを引き出すようにしたい。ラグビー練習の一部としてのトレーニングを…」との思いで選手の肉体改造に取り組む。
着任直後に見たリハビリ中のレメキへは、こんなアプローチをしていたという。
「リハビリを見ていたら、どちらかというと怪我の不安を抱えていた。怪我をする前のデータを上回ることで、『これだけパワーがつけば、不安はないよ』という道を作りたかった。で、結局、誰よりも強くなって、去年のジャージィが着られないくらい大きくなって、それでもスピードは上がっている。本人にも自信がついたみたいです」
レメキは続ける。
――トップリーグを目指すチームに、肉体強化の新たな観点がインストールされたのですね。
「JPさんが来てから、前より(身体の)バランスがいい。怪我をしてから、そのバランス、下半身を意識している。ベンチプレスだけじゃなく、ダンベルを使ったり、片足(の踏ん張りなど)にフォーカスしたり…。で、去年よりも一瞬のパワーがついた。体重も94~95キロ(公称は身長177センチ、体重93キロ)になって、去年よりも全然、でかくなったけど、フィットネスはキープ。…最強」
常にフル回転のレメキの後ろには、オーダーメイドのプログラムがある。