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「もうちょっと違う手段でがんばらないといけなかった」王位戦第1局で敗れた藤井聡太王位コメント

松本博文将棋ライター
(記事中のが蔵作成:筆者)

藤井聡太王位「(角換わり腰掛銀で、36手目△2二玉まで実戦例の少ない形)そうですね、やってみようかなと思っていた作戦ではありました。(38手目△6五桂に対して)銀を逃げる手(▲6六銀)と(本譜の)▲同銀、どちらも有力なのかなと思っていたんですけど。ちょっとそうですね、そのあと(45手目)▲2四桂と打ち込まれて、かなり自玉が薄い展開を強いられるので。そのあたりからまとめ方が難しいなと思って指していました。先手からは攻めの手段もいろいろありそうで、ちょっとわからなかったんですけど、でも、本譜のような感じになる可能性はあるのかなと。難しいのかなと思って指していました。(60手目、1時間17分の長考)△1四金自体は仕方ないと思ったんですけど、△1四金に先手(相手)からの攻めが、こちらから見るとなんかいろいろ、気になる手もありましたし。本譜、進んで、ちょっとどうかな、というのもわからなかったので。はい、長考になりました。(75手目)▲2九龍と引かれたあとは単に△1八香成とするか、△3二玉▲2五桂打に△同歩と取るか。ちょっとそうですね、そのあたりの比較でなにがいいかわからなかったんですけど。ちょっと本譜は、もしかしたら(封じ手の79手目▲3三桂成で自玉の守りの)銀をはがされてしまったので、ちょっとよくなかったのかな、とも思います。もう少し▲2九龍に突っ張った指し方をする必要があったかもしれないなと思います。(85手目)本譜▲3五歩と突かれてみると、うーん、負けになってしまっていると思ったので。(直前の)△7五歩のところで△8六歩かあるいは△1七角とか、もうちょっと違う手段でがんばらないといけなかったかな、とは思います。本譜▲3五歩で△7六歩に▲同銀と取られてしまって、ちょっとなんか、負けにしてしまっているなと思いました。(94手目△7七角と王手で打ち込んで迫っていったが)あのあたりは負けかなと思ってやっていました。(本局を振り返って)攻め込まれてかなり、なんというか、怖い展開が続いていたんですけど。そうですね、▲2九龍のあたりは形勢としては難しいような気がしたんですけど、ちょっとそこからすぐに形勢を損ねてしまったのが反省点だったかなと思います。第2局、しばらく先に、先後が決まっている(藤井王位先手)形になるので、しっかり準備して臨めたらと思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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