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最年少名人候補・藤井聡太竜王(20)9月12日、A級3回戦で早指しの雄・糸谷哲郎八段(33)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月12日。愛知・名古屋将棋対局場において第81期A級順位戦3回戦▲藤井聡太竜王(20歳)-△糸谷哲郎八段(33歳)戦がおこなわれます。

 藤井竜王の順位戦通算成績は驚異の50勝4敗(勝率0.926)です。

 A級1期目で順位9位の藤井竜王。ここまで佐藤康光九段に勝ち、菅井竜也八段に負けで1勝1敗です。

 藤井竜王はどのクラスの途中経過でも負け越したことはありません。A級でも白星を先行し、名人挑戦に近づくことはできるでしょうか。

 もし藤井竜王が今期A級で優勝し、来年度名人戦七番勝負を制すれば、谷川浩司17世名人の21歳を抜き、史上最年少20歳での名人となります。

 早見え早指しの雄として知られる糸谷八段。A級は5期目です。前期は6勝3敗で、最終戦では名人挑戦を決めていた斎藤慎太郎八段の全勝を阻止しました。糸谷八段の今期順位は2位。ここまで広瀬章人八段に負け、佐藤天彦九段に勝って1勝1敗です。

 藤井竜王と糸谷八段の通算対戦成績は、藤井竜王の5連勝です。

 両者の過去の対戦で糸谷八段が後手番だった2局は、阪田流向かい飛車と横歩取りになっています。メジャーな最新形からははずれた、糸谷流の力戦が見られるかもしれません。

 藤井竜王の今年度成績は14勝4敗(勝率0.778)です。

 9月11日に放映されたNHK杯では伊藤匠五段に勝ちました。

 糸谷八段の今年度成績は7勝4敗(勝率0.636)です。直近では王将戦二次予選決勝で佐藤康光九段に勝ち、リーグ復帰を決めています。

 藤井王将への挑戦権を争う激熱のリーグはこれから開幕します。

 A級順位戦の持ち時間は各6時間(ストップウォッチ方式)。昼食、夕食休憩をはさんで、通例では夜遅くに決着します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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