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11日の被災地 屋外での慰霊は風対策を

加藤順子ジャーナリスト、フォトグラファー、気象予報士
3月11日は、津波の犠牲者が多かった各地を様々な人が訪れ、慰霊する光景がみられる

11日にかけて急速に発達する低気圧や強い冬型の気圧配置の影響で、気象庁の気象情報が、早春の嵐への対策を呼びかけるモードに切り替わっているのはご存知でしょうか?

10日から11日の防災上の注意事項や具体的な気象情報は、Yahoo!天気・災害、気象庁、気象会社提供のサービス等で最新のものを確認していただきたいのですが、個人的には、東日本大震災から4年を迎える11日の被災地(東北地方太平洋側)での強風の影響を心配しています。

この日、被災地では様々な場所で慰霊のための祭儀が行われ、多くの身内を亡くした人々が外出したり、屋外で過ごすことが考えられるからです。震災で亡くなった方の命日であることから、祭式そのものはそう簡単に中止にできないでしょう。

低気圧は11日には北に抜け、東北太平洋側の沿岸部の雨は上がっているとは思われますが、問題は西寄りの風です。低気圧の離れ方が遅いのです。野外に設営する慰霊祭を行う主催者の方は、暴風や強風を想定して、テント、看板などの設営物、供え物、あるいは段取り等について、念のために対策を確かめてみるとよいと思います。

また、個人的に、お墓や亡くなった場所、ご遺体の発見場所など、故人に縁ある場所で午後2時46分を迎えたり、津波が来た「その瞬間」を過ごしたりする人もいるでしょう。そうした場所は、今は建物がなくなり、風を遮るものがないことも少なくありません。吹きすさぶ冷たい風の中で、長い時間立ちつくすことがなるべくなくて済むよう、過ごし方の工夫をする必要もあると思います。

気象による災害は、事前の情報を活用して比較的具体的に備えることができます。3.11はいうまでもなく、未曾有の自然災害によって多くの命が失われ、たくさんの人の暮らしが一変した日。声を掛け合って備えることを身を以て実践しながら、「あの日」に向き合うようにしたいものです。

ジャーナリスト、フォトグラファー、気象予報士

近年は、引き出し屋と社会的養護を取材。その他、学校安全、災害・防災、科学コミュニケーション、ソーシャルデザインが主なテーマ。災害が起きても現場に足を運べず、スタジオから伝えるばかりだった気象キャスター時代を省みて、取材者に。主な共著は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)、『下流中年』(SB新書)等。

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