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なぜ、好投しているメジャーリーグ2年目の投手をトレードで放出したのか。FAになるのは5年後

宇根夏樹ベースボール・ライター
スコット・エフロス May 15, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月1日、シカゴ・カブスは、スコット・エフロスをニューヨーク・ヤンキースへ放出し、交換にマイナーリーガー1人を獲得した。

 エフロスは、メジャーリーグ2年目のリリーバーだ。今シーズンは、47登板で44.0イニングを投げ、奪三振率10.23と与四球率2.25、防御率2.66を記録している。昨シーズンは、14登板の14.2イニングで防御率3.68だった。

 FAになるのは、2027年のオフだ。この夏、カブスはトレード市場で売り手に回っているとはいえ、あと5年以上も保有できる選手を手放す必要はなさそうに見える。

 ただ、エフロスはリリーバーだ。マイナーリーグでもそうだったし、大学時代も、先発登板よりリリーフ登板のほうが多かった。一方、カブスが獲得したヘイデン・ウェズネスキーは、同じ右投手ながら、先発投手だ。今シーズンは、AAAで19試合に登板し、89.2イニングで防御率3.51を記録している。

 また、エフロスはすでに28歳だ。2019年に腕の角度をスリークオーターからサイドに変えたのが功を奏し、メジャーリーグへたどり着いた。もちろん、ハードボーラーではなく――そうであれば、サイドアーマーにはなっていないだろう――スタットキャストによると、シンカーと4シームの平均球速は、どちらも91マイル未満だ。

 カブスは、速い球を投げるわけではない遅咲きのリリーバーを保有し続けるよりも、将来、ローテーションの一角を占める可能性を持つ投手と交換するほうがいい、と判断したのではないだろうか。

 これからも、エフロスは、数シーズンにわたって好投するかもしれない。そうなったとしても、ウェズネスキーが期待どおりに伸びれば、カブスにとって、このトレードは成功ということになる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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