総数3384万人・総人口比は26.7%にまで増加した日本のお年寄り
総務省統計局が明日の「敬老の日」に合わせて発表した報告書「統計トピックスNo.90 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-」によると、最新の統計値として日本の高齢者(65歳以上)数は3384万人(2015年9月15日現在)となった。これは総人口比の26.7%にあたり、数・総人口比共に過去最高の値を示している。
今回の公開値は高齢者数・総人口比は人口国勢調査、不足分は人口推計から取得、その他各種値は総務省統計局収録の各種データを元にして精査分析したもの。それによれば2015年9月15日時点で高齢者人口は3384万人。単純対象比較ができる1年前の2014年9月15日の3295万人から89万人も増加している。
高齢者の増加ピークとなる「団塊の世代」(1947年から1949年生まれ、第一次ベビーブーム期)のうち最後の年となる1949年(昭和24年)生まれの人が高齢者層に仲間入りした昨年2014年では同一基準で前年比111万人も増加したが、それよりは少なくなっている。また昨年2014年でははじめて、総人口に占める高齢者の割合が、はじめて25.0%を超え、「4人に1人以上が高齢者の時代」が到来したが、今年2015年はその状態を継続しただけでなく、数字をさらに上乗せ、26.7%に達している。大よそ100人の人口の村があれば、そのうち27人がお年寄りである。さらにいえば75歳以上ならば約13人、80歳以上ならば約8人が該当する。
今レポートでは他にも各種統計結果から、高齢者の動向が多彩な切り口で語られている。概要をまとめると次の通りとなる。
・日本の高齢者人口の割合は、欧米諸国などと比べてももっとも高く、25年後の2040年においてもその状況は変わらないものと推測される。
・東京都、大阪府、長崎県など24都道府県で高齢者の転出増加。千葉県、埼玉県、神奈川県など23県で転入増加。震災被災地域からの流出はほぼなくなり、むしろ昨年から続く形で宮城県のように増加した県もある。また大都市そのものからその近接する都市近郊への流入傾向が続く。
・高齢者の就業率は男性29.3%、女性14.3%(2014年時点、以下同)で計681万人。男女とも前年から増加。15歳以上の就業者総数に占める高齢者の割合は10.7%、比較可能な1968年以降では過去最高。そのうち非正規社員率は約7割(役員除く)。
・高齢雇用者(高齢者で雇用されている者)の非正規率は7割超、理由は「自分の都合の良い時間に働きたいから」が31.6%で最多。正規雇用を望んでいるが該当する仕事が無いからとする人は8.8%。
・二人以上の高齢者世帯の平均貯蓄現在高は2499万円、ゼロの世帯も含めた中央値は1588万円。定期預貯金がほぼ半分。
・二人以上世帯の高齢者世帯でネットショッピングをした世帯は12.0%。電子マネー利用世帯は29.4%。
「団塊の世代」の高齢者層入りは2014年までのため、高齢者人口、総人口に占める高齢者の比率の加速的増加は2014年で終わりを告げている。実際、今回の2015年分では前年と比べて増加数は減退している。
しかしそれでもなお、高齢者の総人口比率が上昇していることに違いは無い。社会福祉をはじめとした各種国や地方自治体の行政施策に関し、これまでの常識にとらわれない、現状を正しく認識し、将来を見え得た上でのかじ取りが求められよう。
※2015.09.20. 21:38 グラフ中の誤表記を修正しました。ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
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