都会では放し飼いの犬が減りました。

『狂犬病予防法』という法律により、犬が放浪していると捕獲されることもあります。診察に来る犬の場合、筆者の動物病院では、8割以上がいわゆる血統書付きの犬です。

筆者は、血統書付きの犬でもそうでない犬でも、命がある尊いものだと思っています。Twitterでトレンド入りした『雑種犬』と『ミックス犬』の違いなどを見ていきましょう。

『雑種犬』と『ミックス犬』の違いは？

『雑種犬』と『ミックス犬』は非常に似た意味を持っていますが、微妙な違いがあります。

・雑種犬とは

雑種犬とは一般的には、純血種の犬種とは異なる2つ以上の犬種の血を受け継いだ犬のことを指します。つまり、混ざり合った犬種を指します。

・ミックス犬とは

雑種犬より、あまりいろいろな血が混じっていない場合を示すことが多いです。たとえば、ペットショップで販売されている子は、ミニチュアダックスとマルチーズの交配したものだったりしています。

簡単に言えば、「雑種犬」は異なる犬種の血が多く混ざっている犬であり、「ミックス犬」はそれほど多くの犬の血が混じっていない犬であることが多いです。

もちろん、雑種犬とミックス犬を同じ意味で使うこともありますが、臨床をしていると上述のような意味で使われることが多いです。

Twitterでなぜ「罪深い雑種犬」がトレンド入りしたか？

Twitterで「＃罪深い雑種犬」とタグ付けされた投稿を覗くと「動物病院の待合室で隣にいた純血種の犬を連れた人に、雑種犬でも病院に連れて来るの？って言われたことがある」「「何犬ですか？」と聞かれるが、アレは何か意味あるのか」などのツイートがありました。

確かに、平成の頃は、犬を2匹飼っていて、1匹は血統書付きの犬なのでフィラリア予防薬を飲ませるけれど、もう1匹は雑種犬なので予防薬を内服しないという家もありました。

最近では、雑種犬でも血統書付きの犬でも差がなく、治療をされるようになっています。

臨床現場にいれば、雑種犬だからといって治療をしない人は、あまりいないので、このように犬には何の罪もないのに「罪深い雑種犬」がトレント入りしているのはショックでした。

意識の高い知人は、保護犬を飼っており雑種犬です。その彼女の住んでいる地域は意識の高い人が多く住んでいるようで、お屋敷街でしたが、雑種犬が散歩している姿を見ました。

ペットショップで血統書付きの犬がたくさん販売されているのに、雑種犬を家族の一員にして飼っている人は尊敬に値します。

雑種犬を医学的に見ると

雑種犬は、純血種の犬種に比べて体が強靭で丈夫であるというメリットがありますが、一方で体型が不揃いであることや、特定の犬種に見られる特徴的な性格が出にくいこともあります。

特に、遺伝的に問題がある犬同士をかけ合わせた場合、健康上の問題が生じる可能性が高くなるため、注意が必要です。

たとえば、マルチーズは小型犬なので心臓病になりやすいとされ、ミニチュアダックスフンドは椎間板ヘルニアになりやすいとされています。雑種犬は、どんな遺伝子が含まれているかわからないので、上述のように「何犬と何犬の交配かな？」と考えて診察することもあります。

まとめ

雑種犬には愛らしさや人懐っこさ、健康的な体などのメリットもあります。適切な健康管理や飼育管理を行い、犬種によらず個体の健康状態を確認し、繁殖や飼育を行うことが重要です。

雑種犬は、唯一無二の存在なので、より愛おしいと思っている人もいます。『罪深い雑種犬』がトレンド入りするのではなく、『愛すべき雑種犬』がトレンド入りする時代になることを望んでいます。