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令和3年最初のタイトル戦勝者は?――第70期王将戦七番勝負渡辺王将-永瀬王座戦展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
今回の防衛戦に3連覇がかかる渡辺明王将(筆者撮影)

 渡辺明王将(36)に永瀬拓矢王座(28)が挑戦する第70期王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社主催)は第1局が1月10、11日に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」で行われる。

 令和3年最初のタイトル戦となる七番勝負の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

<王将戦七番勝負日程>

第1局 1月10、11日 静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」

第2局 1月23、24日 大阪府高槻市「山水館」

第3局 1月30、31日 栃木県大田原市「ホテル花月」

第4局 2月13、14日 東京都立川市「SORANO HOTEL」

第5局 3月1、2日 佐賀県三養基郡「大幸園」

第6局 3月13、14日 島根県大田市「さんべ荘」

第7局 3月20、21日 新潟県佐渡市「佐渡グリーンホテルきらく」

気がかりな渡辺王将の対局不足

<渡辺王将の最近10局>(対戦相手の肩書は対局当時)

8月14、15日 名人戦七番勝負第6局

対豊島将之名人 ○

8月18日 銀河戦決勝トーナメント

対船江恒平七段 ●

8月21日 NHK杯本戦

増田康宏六段 ○

9月16日 王位戦予選

対黒沢玲生五段 ○

9月22日 将棋日本シリーズ2回戦

対高見泰地七段 ○

10月12日 王位戦予選

対横山泰明七段 ○

10月17日 将棋日本シリーズ準決勝

対豊島竜王 ●

10月26日 NHK杯本戦

対羽生善治九段 ●

11月9日 王位戦予選

対片上大輔七段 ●

12月11日 竜王戦ランキング戦2組

対杉本昌隆八段 ○

<永瀬王座の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)

11月12日 順位戦B級1組

対丸山忠久九段 ●

11月17日 王将戦リーグ

対豊島将之竜王 ○

11月20日 王将戦リーグ

対広瀬章人八段 ●

11月22日 将棋日本シリーズ決勝

対豊島竜王 ●

11月25日 棋王戦本戦(敗者復活戦)

対久保利明九段 ○

11月30日 王将戦リーグプレーオフ

対豊島竜王 ○

12月3日 順位戦B級1組

対久保利明九段 ○

12月11日 棋王戦本戦(敗者復活戦)

対糸谷哲郎八段 ●

12月21日 竜王戦ランキング戦1組

対澤田真吾七段 ○

12月24日 順位戦B級1組

対山崎隆之八段 ●

 三冠を保持する第一人者の渡辺王将(名人・棋王)の直近10局は6勝4敗とまずまず。ただし昨年8月に名人のタイトルを奪取してからは対局の間隔が空いており、11月以降はわずか2局と対局数が少なく十分な調整ができているのか気がかりだ。

 対する永瀬王座の直近10局は5勝5敗。渡辺王将とは対照的に過密スケジュールでも本人は全く気にしていないようすで、年末年始も研究会などで精力的にトレーニングを積んでいるようだ。

 直近の成績は渡辺王将がわずかに上回るが、トップ棋士ばかりの王将戦リーグを勝ち抜き挑戦を決めた永瀬王座の勢いは相当なものでコンディションは互角と見る。

角換わりと雁木系が本命、長期戦のねじり合いか

 直接対決は13局あって渡辺王将が10勝3敗(1千日手)と大きく勝ち越している。粘り強い指し回しで「負けない将棋」に定評のある永瀬王座を渡辺王将が苦にしていないのはさすがで、この点では渡辺王将に一日の長がある。

 両者は2015年の竜王戦挑戦者決定三番勝負、2018年の棋王戦五番勝負でそれぞれ番勝負を戦っていて、竜王戦は2勝1敗、棋王戦は3勝2敗といずれもフルセットで渡辺王将が制しており、今回の七番勝負も長期戦のねじり合いになる可能性が高い。

 戦型は過去のデータから相居飛車で角換わりか雁木含みの力戦を予想する。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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