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新型コロナ在宅でもZoom等ビデオ通話アプリでスムーズなコミュニケーション、おすすめアプリは

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
ビデオ通話アプリが増え、オンラインコミュニケーションがスムーズに(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、全国の小中高校が休校となり半月以上経つ。リモートワーク中心となった会社も増加している。それに伴い、様々なやり取りがインターネット経由になりつつある。

NTTコミュニケーションズが平日午前9時から午後6時までのインターネット通信量を2月第一週から1週間ごとに分析したところ、第3週までは大きな変化はなかったものの、第4週には数%の増加。3月第1週からは35%、2週には40%増えるなど、大幅に増加している。

同時に、動画配信サービスへのアクセスも増えているという。テレワークでのテレビ会議や社内システムへのアクセスなどでインターネット利用時間が大幅に拡大すると同時に、休校中の子どもたちがオンライン授業などを受けていることが影響しているだろう。新型コロナウイルス騒動で変わるオンラインコミュニケーション実態と使われているアプリについて見ていきたい。

誰かと会いたい、交流したい子どもたち

文部科学省が、休校中でも「(症状がなければ)屋外で運動をしてよい」と見解を示したが、それまでは基本的に自宅で過ごすこととされ、子どもたちが屋外にいると叱られたり、学校に連絡が入ったりすることがあった。

学校からは課題などが出たが、健康な子どもたちが毎日友だちとも会わずに自宅に引きこもって過ごすことは難しい。中には、ストレスのあまり全身に蕁麻疹が出たという小学生の話を聞いた。登校日に学校に行き友だちと会うと、その子の蕁麻疹はおさまったそうだ。

「毎日私と二人きりだったから…。私じゃだめなんですね…」と母親はため息をつく。「リモートワークしながら、毎日ランチを作り、子どもの遊び相手までやった。けれど、子どもはストレスがたまって荒れた」。

休校に合わせてオンライン授業や学習コンテンツ、電子書籍などの無料公開が相次いでおり、自宅での学習の助けになっている児童・生徒も多いだろう。一方、休校措置を受けてたった一人で家にいる小学生などもおり、その子の母親いわく、「学校からもらっている課題もままならない。毎日ゲームとYouTube動画ばかり」という。

筆者の家庭では、小学生の子どもに平日毎日10時半〜12時にある探究学舎の生配信されるオンライン授業を受けさせることにした。開始前までに学校の課題を終わらせ、午後は友だちと近くの公園や学校の校庭で遊ぶ約束をさせるなど、生配信を中心にスケジュールを組むことにしたのだ。

子どもの様子を見ていて、生配信の力を改めて感じた。生配信なので、質問に対してチャットで答えるなどの参加ができる。親しい友達も参加しているので、友だちの名前をチャットの中に見つけるたびに「◯◯がこんなことを書いてる」と喜んでいた。

内容がよかったのはもちろん、教室の中の疑似体験ができるところが子どもには楽しかったようだ。子どもたちも、誰かと会いたいし交流したいのだ。

オンラインで変わるコミュニケーション

文科省の見解が発表されるまで、毎日自宅に閉じこもっている子は少なくなかった。「子どもがストレスで荒れている。子ども同士で話したり、公園で遊んだり、体を動かす機会がほしい」という切羽詰まった保護者の声を聞いた。

ある保護者は、「Zoom勉強会をしたら子どもが喜んでいた」と語る。Zoomはオンラインでビデオ会議やオンラインセミナーができるアプリであり、無料プランも用意されている他、現在、教育機関向けに有料プランを4月末まで無償提供している。その家庭では、Zoomで他の子達が勉強している姿を見ながら勉強したところ、当人もやる気になったという。

中高生の子どもたちは、スタディプラスや勉強垢(勉強用SNSアカウント)などで学習時間を記録し、同じ目標を持つ仲間たちと励ましながら勉強をすることを好む。それと同様、他の子ども達が学習している姿を見て、「みんなもがんばっているから自分もがんばろう」という気持ちになれたのだろう。

新型コロナの感染拡大によって、直接会えなくなっている例は多い。学校の先生と生徒が会えず、ある学校ではコミュニケーションにLINEやZoomを使っている。部活動で、互いの練習動画をLINEに投稿し、フォームなどを確認したり、アドバイスし合うことにしているという例もある。学校によっては、生徒とビデオ通話でコミュニケーションを取ったり、オンライン授業を行っている例もあるようだ。

「祖父母と孫を気軽に会わせられなくなってしまった」という話も聞く。高齢者は感染した場合のリスクが高く、外出が難しいためだ。「LINEでビデオ通話をしている。顔を見て話せるから嬉しいみたい。LINEなら普段から使っていたから、高齢の両親にも使いやすい」という。

他にも、会社の同僚とZoomやSkypeなどでビデオ会議をしているという話は多い。「満員電車に乗らなくて済むのは嬉しかったけれど、最近動かなさすぎて運動不足で太ってきた。食料品の買い出しに行く以外では人と会わないし正直寂しい」と、ある30代女性は言う。「先日は友人同士、Zoom越しに数名で集まって飲み会をした。おしゃべりができてストレス発散になった」。

顔を見ながらスムーズなコミュニケーションを

連絡のみなら、メールやLINE、電話などで済む。しかし、顔を見ながらコミュニケーションすることで、意思疎通がスムーズにできたり、楽しくやり取りができる。大人数での集まりなどが制限されている今こそ、オンラインコミュニケーションをうまく生かしていくといいだろう。

Zoomは少人数での利用の他、人数がある程度多いときに特に便利に使えるだろう。無料版でも100名まで参加可能だ。ビデオ会議などのミーティング、セミナーや打ち合わせ、取材などを行っている例も聞く。主催者がアカウントとIDを持っていれば他の参加者はIDを作る必要もなく、参加の敷居は低い。必要なデータ通信量も他のサービスより低く通信環境が安定しているところも人気だ。

なお、卒業式を卒業生のみとし、YouTubeライブで配信したところも多いが、Zoomにも卒業式で使いたいという問い合わせが70件以上きたそうだ。

もちろん、Skypeを使ってオンラインミーティングをしている例も多い。「散らかっている部屋を見せくないので、背景がぼかせる機能が便利」という声があった。Skypeはビジネス相手とつながっている例は多く、チャットでの連絡もできる。

LINEのビデオ通話機能は、家族や友人などの親しい少人数でのやり取りが向いているだろう。なお、グループでのビデオ通話は200人まで参加でき、画面には一度に自分を含めて4名までの顔を映しながら会話が可能だ。他にも、HangoutFaceTimeなどを使っている例があるようだ。

なかなか集まりづらい状況が続くが、ご紹介したようなアプリやサービスとWi-Fi環境さえあれば、直接会うに近いスムーズなコミュニケーションが可能となる。会いたい人たちと在宅でも会える手段として、うまく取り入れてみてはいかがだろうか。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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