Yahoo!ニュース

【台風7号】上陸せずとも「発達ピーク」に警戒!なぜ東に曲がる?通過後はさらなる酷暑も:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
台風7号の予報円(気象庁HPより)。

台風7号はこのあと、まもなく「強い」勢力となって今日15日夜~明日16日午前にかけては伊豆諸島16日朝~夜にかけては関東に接近する見通しとなってきました(※追記:千葉県に接近中、「非常に強い」勢力になる予報に変わりました。「非常に強い」台風の中心付近では、ブロック塀が壊れるレベルの風が吹きます。)

当初の予報円よりもやや東寄りの進路となり、台風が上陸する可能性はやや低くなったものの、発達がピークに達した状態のまま伊豆諸島や関東に接近する予想になっていて、油断はできません。
実際、JR東海は本州に台風7号が最接近すると見られる16日について東海道新幹線を終日運休にすると発表しました。

なぜ台風7号は東へ曲がるように進むのか、また発達ピーク時に接近することで予想される風の強さはどのくらいか、そして通過後にやってくる酷暑の見通しも含めて解説します。

台風の東側の空間にあるのは…?

台風7号・台風8号の予報円(気象庁HPより)。
台風7号・台風8号の予報円(気象庁HPより)。

台風7号だけでなく、日本列島にあまり影響がないと見られる台風8号についても、まるで左折するかのように進路が大きく東に曲がる予想になっていて、これらの台風の東側にある空間に何があるのか、気になる人もいると思います。

(左)15日9時と(右)16日9時の予想天気図(気象庁HPを元に作成)。
(左)15日9時と(右)16日9時の予想天気図(気象庁HPを元に作成)。

これらの台風の東側にあるのは大きな高気圧で、高気圧の周囲には時計回りの風が吹いているため、この風に乗って動くことで、まるで左折したかのように見えるのです。

実はこういった高気圧の勢力がどこまで張り出してくるかは予想が難しく、今回も当初の予想よりも台風がやや東寄りに進む見通しに変わってきました。

15日は伊豆諸島に台風接近、本州付近はさらに雷雨エリア拡大

15日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
15日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

今日15日は昼前にかけて小笠原諸島で激しい前が降り、その後は台風7号が伊豆諸島に近づくでしょう。伊豆諸島では夕方から非常に激しい雨が降り、夜になると暴風域に入って、一部の住家が壊れるような強さ(最大瞬間風速60m/s)の風が吹く見通しです。

また、昨日14日の時点でも全国的に雷雨が多数発生しましたが、15日も継続的に台風周辺の暖湿気が流れ込み、さらに急な雨や雷が起きやすい状況になりそうです。
発雷確率は東北南部~沖縄の広範囲で高くなっています。

通常、暖湿気が流れ込んで大気の状態が不安定になると、午後になってから雨が降って「夕立」と呼ばれますが、今回は流れ込む量が多いため午前中のうちから雨が降り出すところもあり、激しい雨や落雷に十分注意が必要です。

16日は猛烈な風と猛烈な雨

明日16日になると、伊豆諸島で引き続き猛烈な風が吹く一方で、関東や静岡でも非常に強い風が吹きそうです。

予想される最大瞬間風速は、
▼伊豆諸島、千葉の海上、茨城の海上:60m/s(一部の住家が壊れる)
▼千葉の陸上、茨城の陸上:45m/s(外での行動は極めて危険)
▼東京(本州側)、神奈川、静岡の海上:35m/s(立っていられない)
となっています。

また、雨は関東甲信地方の多いところで、滝のような非常に激しい降り方となり、17日朝までの24時間に300ミリが予想されています。

今のところ台風7号は関東付近までは北に進んだあと、前述の通り左折するかのように東へ進むようになる見通しで、こういった方向転換の際に台風はスピードを落とす傾向があります。
関東ではピークの影響を受ける時間が長引いて、16日は朝から夜まで災害の危険性が続くおそれがあります。
なお、備えのポイントについては以前の記事の後半にまとめています。

東北の影響は福島・宮城中心、通過後は東海などさらなる酷暑に

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

台風7号は16日に関東に最接近したあと、明後日17日(土)には東北に近づく見通しですが、今回影響を受けるのは福島と宮城が中心となりそうです。
2県とも暴風域に入る可能性は関東と比べ低いものの、横殴りの激しい雨になるおそれがあります。
予想される雨の量は、16日朝~17日朝の24時間で最大120ミリ、さらに18日朝までの24時間で80ミリです。

そして台風が去ったあと、特に東海や関東を中心にまた気温が上がりそうです。
週間予報を地域ごとに詳しく見ると、気温の予想の「幅」を見ることができるのですが、たとえば名古屋の予報では17日(土)は最大で41度まで上がる可能性があることがわかります。

全国的にも高温が予想されているため、いま一度、熱中症対策を確認しましょう。

※筆者のプロフィールからフォロー(リンク先の「+」のボタン)していただくと、日々の天気や、テレビではなかなか話せない気象予報の裏側を書いた記事を逃さず読むことができます。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

植松愛実の最近の記事