デビュー4登板目のルーキーが惜しくも逃した2つの記録。「マダックス」と「奪三振も与四球もゼロの完投」
8月28日、ジェイコブ・ニックス(サンディエゴ・パドレス)は完封まで2アウトに迫りながら、ネルソン・クルーズ(シアトル・マリナーズ)に本塁打を打たれ、そこでマウンドを降りた。
ニックスは22歳。メジャーデビューから1ヵ月経っておらず、この日が4登板目だった。リードが2点から1点に減ったことからすれば、交代に異論を唱えるつもりはない。代わって登板したカービー・イェーツが2人を討ち取り、ニックスは2勝目を手にした。
だが、ニックスは79球しか投げていなかった。また、クルーズに続く2人を計6打席ともアウトにしていた。しかも、パドレスの地区最下位はほぼ確定している。この試合に勝つことは、それほど重要ではなかった。
1点を失った時点で、ニックスの「マダックス」、先発投手による100球未満の完封(9イニング以上)は潰えた。けれども、そのまま投げていれば「奪三振も与四球もゼロの完投」という可能性はあった。
先日、「マダックスより多くの「マダックス」を記録する投手は出てくるのか」で書いたように、今シーズンは2人が「マダックス」を記録している。一方、ベースボール・リファレンスで調べたところ、21世紀に入ってから――正確には1995年以降――の「奪三振も与四球もゼロの完投」は、2006年5月1日のジョエル・ピネイロと2014年7月1日のリック・ポーセロ(現ボストン・レッドソックス)しかいない。ニックスは、ポーセロ以来の「8イニング以上を投げて奪三振も与四球もゼロ」となった。
奪三振がないことをどう評価するかはさておき、珍しい記録であることは間違いない。ちなみに、ポーセロは「マダックス」と「奪三振も与四球もゼロの完投」を同時に記録した。ピネイロは2点を失って106球を費やしたが、ポーセロは無失点のまま95球で試合を終わらせた。