日本で今後ますます必要性・重要性が高まる外国人材活用について知ろう!
日本は、全国各地やさまざまな産業分野において、少子高齢化に伴う生産年齢人口の急速な減少によって社会の担い手の不足が問題・課題になってきている。
その関係もあり、外国人材(外国人労働者)の雇用への期待は年々高まってきている。実際在留外国人労働者数は、2020年10月現在で172万人を超えている(出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届け出状況のまとめ」)。
そのような社会的状況を受けて、2019年4月に出入国管理及び難民認定法(入管法)が改正され、日本での外国人材の受け入れ拡大が制度上も可能になったのである。
他方、2019年末のコロナ感染の世界的な広がりの中で、国際的な人的移動における大幅な制約が生じた。そのために、入管法の改正にもかかわらず、外国人材の受け入れに大きな制約が生じたが、それでも、年在留外国人労働者数は、2019年と2020年を比較すると、対前年比増加率は13.6%から4%へと減少したものの、総数は約165万9千人から約172万4千人と増加し、2020年10月には過去最高値を記録したのである(出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届け出状況のまとめ」、2020年10月末現在)。
コロナ禍は現在も進行中ではあるが、日本を含めた各国のその対応が変化してきており、人の受け入れに前向きな状況が生まれてきており、今後さらにその方向に進み、各国で人の受け入れ・移動が急速に進み、全面受け入れもそう遠くないと予想されるような状況になってきている。
そのことはつまり、日本にもこれまで以上のレベルで外国人材が入ってくる可能性がある状況が迫ってきているということができるのである。
では、日本では、企業・組織や個人も、コロナ禍以前と比べて、外国人材をより積極的に受け入れ、活用し、活躍してもらうような体制にバージョン・アップしているだろうか。答えはおそらく「NO」だろう。
上述の入管法の改正は、社会的状況や政治的要請があったために、やや拙速的におこなわれた。そのために、それへの準備や対応における不十分感は否めないし、コロナ禍の拡大のなか外国人材への対応の難しさなども露呈した。しかしながら、日本の社会や政府は、目先のコロナ禍対応に追われ、外国人材の受け入れと活用に関するアフターコロナ期に起きてくると考えられる問題や課題に十分に準備や対応してきていないということができるであろう。
そして、政府などの公的機関ばかりでなく、民間の組織やビジネスなどにおいても、経営者や管理職さらに一般職員など、そして特に外国人材の雇用に携わる方や管理職は、外国人材の雇用や対応に関する理解や知見が必要になってきている。日本社会において、今後確実に外国人材が増えていくことを考えると、後者の人材の育成が必要かつ不可欠になってきている。
そんななか、非常に貴重な書籍が出版された。それが、『外国人雇用労務士 公認テキストブック』である。
同書は、「外国人雇用労務士(外労士)公認テキストブック」と銘打っているように「外国人雇用労務士」検定資格のテキストブックである。
同資格は、一般社団法人全国外国人雇用推進機構が認定する民間資格で、本年11月にその第1回試験が開催される。外労士検定試験は、外国人雇用に係わるすべての人に必要な知識を評価する全国試験で、外国人雇用の社会的背景や、採用・労務・管理・人権・法務・在留の実務に関する実践的な知識を問うものである。
そのため、同テキストブックは、外国人雇用の背景および在留資格から構成された「第1章 外国人雇用総論」、「第2章 外国人労働者の人権」、採用の基本および採用戦略・募集・選考、在留資格各論から構成された「第3章 外国人労働者の採用と入管法」、適用法および労働契約の締結時・労働条件・雇用契約の更新から構成された「第4章 外国人労働者の労務・法務」、「第5章 人事制度と人事管理」、巻末資料からなっており、外国人材に関わるさまざまな情報や知見が満載で、同書を熟知・理解できれば、同検定試験対策も万全だろう。
しかも、同テキストブックの3名の著者は、外国人材の活用に関しての法務の面や人事コンサルなどで活躍する専門家であり、その分野のプロ中のプロである。そのため、同テキストブックには、外国人材の活用や雇用の仕方、在留対応などに関して実用的で実践的で具体的な説明や実例などが満載で、企業などが実際に外国人材を採用・活用する際に、役立つ貴重な情報や知見が満載である。
その意味では、同書は、「外労士」の検定試験受験のテキストブックではあるが、外国人材の雇用について包括的に理解できる入門書ともなっており、さらに外国人材活用に関して困った際にはいつでも利用し参照できるハンドブックにもなりうるという非常に有益な資料なのである。
同書は、今後の日本の方向性を考えれば、あらゆる企業や組織の人事担当者や管理職、さらに経営者にとって「MUST READ(必読)」の書であるといえるだろう。お薦めである。