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ハイランダーズ姫野和樹、2戦連続先発へ「立ち向かう覚悟と勇気を」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(スクリーンショットは筆者撮影)

 ラグビー日本代表として2019年のワールドカップ日本大会で8強入りした姫野和樹は、4月10日、ニュージーランドのスーパーラグビーアオテアロアで2試合連続での先発出場を果たす。

 トヨタ自動車から期限付き移籍したハイランダーズのナンバーエイトとして、チーフスとの第7節でプレーする(ダニーデンのフォーサイス・バー・スタジアム)。

 入国後の自主隔離などを経て、3月26日、ハリケーンズとの第5節で後半9分に今季初出場(フォーサイス・バー・スタジアム)。19―30と敗れたが、得意のジャッカル(接点で球に絡むプレー)を披露した。

 続く4月2日には、クルセイダーズとの第6節で今季初先発。ナンバーエイトとして53分間、グラウンドに立ち、ジャッカル、突進で際立ち、33―12で勝った(クライストチャーチのオレンジセオリースタジアム)。

 ハイランダーズを率いる日本代表のアタックコーチでもあるトニー・ブラウン。日本代表ヘッドコーチジェイミー・ジョセフも元ハイランダーズ指揮官だ。クルセイダーズ戦後、オンラインによる共同取材で現況について語っている。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「皆さんこんにちは。とにかく今回は勝てたことをうれしく思っています。王者クルセイダーズに勝てたことは大きな自信になるし、今後の優勝争いにも食って掛かるんだという意志表示になったと思います。これから自分自身も精進していかなきゃいけないし、もっとステップアップしていけたらなと思います」

――試合前はわくわくしているようだったけど、自分自身のパフォーマンスへの満足度は。

「クルセイダーズというチームが相手でタフなゲームになるとは思っていたので、しっかり自分のプレーにフォーカスしようと臨みました。自分自身はそんなに納得していないです。まだまだ試合中の感覚を研ぎ澄まさないといけないなとすごく感じた。ただ今季初先発で、先発は1年ぶり。納得はしていないですけど、そんなに焦ることもないなと。チームも勝てたので、充実感もすごくあります」

――ゲームタイムはもともと約50分の予定だったのか。

「もともとフォワードが2枚いたので、練習から僕が代わって…という準備はしていました」

――初先発へ。

「気持ちの作り方が久しぶりな感じ。高ぶりすぎたところもあるし、凄く不安に駆られる感覚もあった。そこは徐々にいいメンタルをスムーズに作れるようになるかなと思います。試合に出て、王者クルセイダーズに対して、アウェーで勝つというのがなかなかない、というなか、大きなチャレンジになるだろとは自分自身もチームも思っていた。

(ハイランダーズが)最下位ということもあって、ここで勝つか勝たないかで…という大一番だと、チームで臨んだ。いい雰囲気で試合に臨めたと思います」

――今回はアウェーゲーム。移動は。

「飛行機で行きました。うん。まぁ、そこは何とかやったって感じですけど、今回遠征には通訳をやってくれている子もいなかったですし、(日本語を話せるのは)自分だけだったので、コミュニケーションの部分で難しいところはありました。でも、皆、真剣に聞いてくれるので、そんなにメンタル的に苦だったことはなく」

――前回の試合後、トニー・ブラウンヘッドコーチらから何らかのレビューはありましたか。

「何もないです。頑張れよ、スタメンおめでとうくらい、ですね。レビューもない。ジェイミーも試合後のラインは、ないです」

――それだけ溶け込んでいるということか。

「わかんないっすね、本人に聞いてみないとわかんないですけど、そうであって欲しいです」

――デビュー戦後、ファンやチームメイトの反応は。

「信頼関係を構築するにはラグビーで魅せていくのが大事だった。チームメイトからは『(デビュー戦では)いいプレーだったよ』と言ってもらえた。少しは認めてもらえたのかなとは思いました」

――具体的な変化は。例えば練習でたくさんボールをもらえるようになったとか。

「具体的な変化…。ボールは結構、(もとから)もらえます。いままで通りです」

――先ほど話題に挙がったジョセフさんとは、プライベートで会うことも多いようです。どんな様子ですか。

「めっちゃ、優しいです、ジェイミー。フフフフ。何か、友達みたいな感覚で、中華料理屋さんに行きます。代表とは違う顔ではありますね、やっぱり。ラグビーの話、めっちゃします。トップリーグのあの子がいいとか、『トヨタのあの選手いいね』『いいでしょ』とか。ジェイミー、日本語で喋ってくるから、日本語で答える感じです。でも、ジェイミーの家族とは英語で」

――「力の証明」をしたいと話していたが。

「それは僕が証明するというのもそうですけど、周りが認めてくれるというところ眞折ると思うので、僕自身は常に100パーセント、持っているものをグラウンドで表現するだけ。あとはそれで見たニュージーランドのファンが『日本人でもすごいいいプレーをできるんだ』と思ってもらえたら嬉しいし、そうしたらもっともっと、日本にいるラグビー選手、子どもたちが将来もっと僕より活躍するかもしれない。そういう未来のため、僕はこっちでしっかり戦おうと頑張っています」

――「不安にかられた」とのこと。自身のツイッターでも、似た趣旨を記していました。

「試合前はいつも怖いという気持ちもあるし、自分が弱いなと思うこともある。そういうのを知った時はまず受け止めることが大事だと思っていて。受け止めたところがまず自分の成長の段階。受け止めたうえで、立ち向かう覚悟と勇気を持ってやれば何事もできると思うし、それをメッセージとして伝えて、(ファンが)少しでも勇気を持つきっかけになってもらえればなと」

――そのあたりの感覚は、海外に来て育まれたのか。

「もともとさらけ出すタイプなんで。助けてもらわないと、生きてけないんで。ラグビーってそういうスポーツだし」

 姫野のいまの目標は、「ラグビーを日本でなくてはならないスポーツにすること」。自らの競技活動を通し、普遍的事象に昇華できる要素をひとつひとつ紡ぎだしている。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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