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ウクライナ軍、久しぶりにロシア軍の監視ドローン「ZALA 421-16Е2」迎撃

佐藤仁学術研究員・著述家
ロシア軍の監視ドローン「ZALA 421-16Е2」(ウクライナ軍提供)

2023年8月にロシア軍の監視ドローン「ZALA 421-16Е2」が迎撃された写真が久しぶりに公開されていた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ロシア軍は主にロシア製の監視ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。たまに「Eleron-3」でも偵察を行っている。「Granat-4」、「Korsar(Корсар)」「Supercam S150」というロシア製の監視ドローンもたまに見かける。またロシア軍は、ロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」、イラン政府から提供された攻撃ドローン「シャハド」で攻撃を行っている。「Orlan-10」と「シャハド」が撃破された残骸の写真は頻繁に見かけるので珍しくはない。「ZALA 421-16Е2」はそれらに比べるとあまり見かけない。

2022年11月にウクライナ軍がドネツクで破壊したロシア製の監視ドローン「ZALA 421-16Е2」の写真を公開していた。2022年5月、7月にも偵察ドローン「ZALA 421-16Е2」を破壊していた。2022年5月に同機を迎撃して破壊した時には「めったに見られない偵察ドローン」と地元メディアで報じられていた。

上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

「ZALA 421-16Е2」は、監視・偵察専用機で爆弾を搭載して落下させたり、標的に突っ込んで爆発することは基本的にはない。そのためジャミングでも機能停止できる。今回公開された「ZALA 421-16Е2」の写真もほぼ無傷な状態と地元のテレグラムで紹介されていたので、機能停止させて"ソフトキル"で迎撃したものだと思われる。

最近の監視ドローンには手榴弾などの武器や弾薬が搭載されている可能性があるので、機能停止するだけでは上空からドローンが落下して地上で爆発する危険もある。そのため上空でハードキルで破壊することが多い。また敵軍の監視・偵察ドローンに自軍の居場所を察知されると、その場所をめがけてミサイルが大量に発射されるので監視ドローンを検知したらすぐに破壊したり機能停止する必要がある。

またロシア軍は破壊された監視ドローンを回収して部品の再利用をして、監視ドローンを作っている。そのため、監視ドローンといえども、中途半端な機能停止や撃墜によって落下させるのではなく、他の戦車やミサイルと同じように上空で徹底的に破壊しておいたほうが良い。そうすれば部品を回収されて監視ドローン製造に再利用されないので効果的である。

▼迎撃されたロシア軍の監視ドローン「ZALA 421-16Е2」(2023年8月)

▼迎撃されたロシア軍の監視ドローン「ZALA 421-16Е2」(2022年11月)

▼迎撃されたロシア軍の監視ドローン「ZALA 421-16Е2」(2022年5月)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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