「17戦9発」独立Lで無双の怪力モタはNPB復帰を熱望。大砲が補強ポイントの球団はどこだ?
5月15日、ヤマエ久野九州アジアリーグの火の国サラマンダーズは福岡ソフトバンクホークス三軍とタマホームスタジアム筑後で対戦した。
火の国・芦谷がソフトバンクに2戦2勝
【5月15日 タマスタ筑後 453人】
火の国 `100100105 8
ソフトバンク `000100000 1
<バッテリー>
【火】◯芦谷、石本、水野、橋詰、猿渡――深草、有田
【ソ】●奥村、中道、桑原――加藤晴
<本塁打>
【火】モタ 【ソ】黒瀬
<スタメン>
【火】4中村 6橋中 9水本 7モタ 3佐藤 D高橋 5中野 2深草 8柏木
【ソ】8荒木 6勝連 7荒木 9川村 D黒瀬 3石塚 4伊藤 9シモン 2加藤 6ヘラルディーノ
<戦評>
火の国の打線が活発だった。初回、水本の一ゴロが相手野選を誘い先制。四回は中野の適時二塁打で1点を挙げた。その後ソフトバンク黒瀬のソロで1点を返されたが、七回は相手守備の乱れを突き追加点。そして九回は水本の2点適時三塁打やモタのソロ、中野の適時三塁打などで大量5点を奪ってダメ押しした。
チーム14安打。中野が4安打の大活躍だった。また、3安打を放った中村は1試合4盗塁と存在感を発揮した。
先発は九州大出身の芦谷。6回途中4安打1失点とソロの失点のみに抑え、8奪三振も光った。ソフトバンク戦は2度先発して2勝とアピールに成功した。
ソフトバンクは先発した奥村が5回4安打2失点。2番手の中道は2回1失点も自責は0で、140キロ台中盤の力強いボールを投げていた。打線は黒瀬の一発以外に得点できず。2番に入った勝連が2安打を放った。(了)
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大砲モタを獲得したい球団は?
相変わらず、独立リーグで打ちまくっている。またも主砲イスラエル・モタのパワーがさく裂した。
3打数無安打1四球で迎えた九回表の第5打席、ソフトバンク3番手・桑原の甘いボールを見逃さず、コンパクトに鋭くバットを振りぬいた。弾丸のような勢いある打球が左翼フェンス向こうの防球ネットに突き刺さった。
5月に入って調子はやや下降気味だった。3~5日に熊本市・リブワーク藤崎台球場で行われたソフトバンク3連戦はノーアーチだった。それでも8日の福岡北九州フェニックス戦(光陵グリーン)で今季2度目の1試合2発をマークすると、この日も2試合ぶりの快音を轟かせた。
公式戦はここまで17試合に出場。57打数18安打、打率.316、9本塁打、21打点、出塁率.426。当然、本塁打と打点の二冠に立っている。また、練習試合も含めば本塁打数はさらに増える。
オリックス、ヤクルトは大砲獲得
陽気なドミニカンは2019年から2シーズン、巨人に在籍した。火の国サラマンダーズ入りしたのも「NPB球団に復帰したい」との希望があったからだ。「12球団、どこでも行きます」と願いを込めて口にしている。
一方、NPBはペナントレース開幕からまもなく2か月となる。シーズン途中補強を行う球団もいくつか見られるようになった。
オリックスは4月23日、ジョー・マッカーシー外野手を獲得。マイナー通算45本塁打の左打ちの長距離砲だ。
ヤクルトは同29日、メジャー10発でマイナーでは通算158本塁打を放っている右の強打者パトリック・キブレハン外野手を獲得した。
西武に5月に入団したロマー・コドラド外野手(マイナー通算39発)、ジャシエル・ヘレラ投手はいずれも育成契約だった。
”パイプ”のあるロッテ
モタに声がかかることはなかったが、今季ここまで全体的には攻撃力を課題としているチームが多く、ヤクルトとオリックス以外にも大砲を補強ポイントとしている球団はあるのではなかろうか。
たとえばロッテだ。チーム14本塁打(39試合)は12球団中11位。レアードがチームトップの4本塁打を放っているが、打率.209と低迷。期待の大きかったマーティンが打率.133、1本塁打と大不振なのが痛い。また、火の国サラマンダーズからは昨季、小窪哲也(現広島カープコーチ)がシーズン途中移籍した実績もあり、パイプもある。
西武もチーム28本塁打(40試合)はパ・リーグ2位の破壊力だが、その半分の14発は山川穂高1人でマークしている。オグレディも.262、3本塁打とまずまず健闘しているが、外国人枠を見ても余裕がありそう。近年は打ち勝つスタイルで戴冠してきたチームだ。上位進出へ助っ人大砲加入があっても不思議ではない。
広島は好調も、長打力不足は課題
セ・リーグで長打力を課題としているのは広島だ。チーム自体は好調だが、チーム19本塁打(40試合)はリーグワースト。本塁打1位の巨人(43試合・48発)の半分以下だ。打率.288、5本塁打のマクブルームとコンビを組む大砲がいれば、今後の戦いが楽になる。
開幕ダッシュに失敗した阪神も徐々に巻き返しており最下位脱出が見えている。佐藤輝明(9本塁打)、大山悠輔(5本塁打)の和製大砲は健闘しているが、助っ人砲は物足りない。補強ポイントに合致しそうだ。
また、モタに関していえば、日本球界を経験しているところもプラス材料になる。チームにもすぐ馴染む明るい性格。そして火の国サラマンダーズ・馬原孝浩監督はNPB球団へのアピールの意味も込めて、モタを指名打者ではなく一塁手や左翼手で積極的に起用している。外野で好捕を見せるシーンもしばしば見られるようになってきた。
上記球団に限らずとも「右の大砲」のニーズは高い。朗報が届くまで、モタは熊本でただひたすらにアピールを続けていく。
※写真はすべて筆者撮影