Yahoo!ニュース

“躁うつ病”告白で軍隊生活へ。兵役チャン・グンソクに待ち受けるものとは?【追記あり】

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
チャン・グンソク(写真:アフロ)

“グンちゃん”の愛称で日本でも絶大な人気を博した韓国の俳優チャン・グンソクが、しばしの間、華やかなエンターテインメントの世界から姿を消す。本日7月16日、チャン・グンソクは韓国の成人男子に課せられている約2年間の兵役を開始するのだ。

免除も延期申請もなかった!!

そもそもチャン・グンソクの兵役開始時期については、ファンはもちろん、韓国エンタメ業界に携わる者たちにとっても関心事だった。

というのも、韓国の兵役法には「30歳を超えて兵役を延期できない」という条文があり、近年は1986年〜1988年生まれの韓流スターたちの入隊ラッシュが続いていた。

2015年にはJYJのキム・ジェジュン(86年生まれ)、東方神起のユンホ(86年生まれ)とチャンミン(88年生まれ)、2016年にはイ・スンギ(87年生まれ)、2017年にはBIGBANGのT.O.P(87年生まれ)やJYJのジュンス(87年生まれ)が入隊している。

それに照らし合わせれば、1987年8月7日生まれのチャン・グンソクは昨年に入隊してもおかしくなかった。韓国で兵役はナイーブな問題だけに、一部では兵役免除資格を得たのではないかという憶測も流れたこともあったほどだ。

(参考記事:「えっ、そんな理由で?」兵役を免除された20人の韓国芸能人を一挙紹介!!)

躁うつ病告白に驚き

ただ、今回の決定で明らかになった通り、チャン・グンソクは国民の義務としっかり向き合っていたわけだ。所属事務所によると、兵務庁の兵役判定検査で4級判定を受けて社会服務要員として兵役を務めるという。

社会服務要員とは、ひらたく言うと国家機関、地方自治団体、公共団体、社会福祉施設で社会サービス業務や行政業務などに従事することで、それが兵役と見なされる制度だ。

JYJのパク・ユチョンらがこの制度で兵役を務め終えているし、現在は人気俳優のイ・ミンホなどが社会服務要員として兵役生活を送っている。

驚いたのは、チャン・グンソク側が今回の決定に至るまでの経緯を詳しく説明していることだ。2011年に大学病院で “双極性障害”の診断を受けたが、入隊延期申請はせず、再検査を受けて今回の4級判定に至ったというのだ。

自ら入隊延期申請をしていなかったことも驚きだったが、“双極性障害”を患っていたということがさらに輪をかけて驚きだった。

『韓流スターと兵役』(光文社新書)の著者で韓国の兵役事情に詳しい康 熙奉氏も、「韓国で兵役は非常にデリケートな問題。おそらく、兵役判定のことをここまで表明したのは、チャン・グンソクが初めてではないですか」と語っているほどなのだ。

(参考記事:徹底検証!! チャン・グンソクの「兵役“4級”判定」は本当に妥当なのだろうか)

新兵訓練で待ち受けるものとは…

そして、それだけにチャン・グンソクの今後が心配でもある。

というのも、社会服務要員として公的機関に配属される前に、チャン・グンソクは新兵として4〜5週間の「軍事基礎訓練」を受けなければならないのだ。

その内容は、制式訓練、射撃の予備訓練、行軍などで、一般人から軍人になるために、軍隊式の立ち方、座り方、歩き方なども叩き込まれる。筆者の友人たちの多くも、「新兵訓練期間がもっともつらい」と語っていたが、チャン・グンソクもこの新兵訓練を受けなければならないのだ。

しかも、年が離れた若者たちと…。韓国では一般的に20〜22歳の時期に兵役を始める若者たちが多いため、30代になったチャン・グンソクは必然的に年長者になる。

世代も生きてきた場所も異なる若者たちと4〜5週間、寝食をともにするのだ。それ以外にもさまざまな試練が待ち受けていることを考えると、容易ではないことは想像に難くない。

(参考記事:「アジョシ」と呼ばれるかも…“最年長”で新兵訓練チャン・グンソクに待ち受ける試練の数々)

ただ、前出の韓流スターたちは皆、そうした試練を乗り越えただけではなく、ジェジュンやユンホに至っては「最優秀訓練兵賞」にも輝いている。彼らにできてチャン・グンソクにできないことはないだろう。

いずれにしても、本日から新兵訓練所に入り、兵役をスタートさせるチャン・グンソク。

K-POPアイドルや韓流スターが入所する際、その姿を見届けようとファンが殺到しメディアも駆けつけ、国民の義務を務めるスターの決意表明を聞く即席の記者会見が開かれるのが一般的であるが、チャン・グンソクと所属事務所は「非公開での入隊」を明らかにしている。

公開となれば騒ぎになり、同じ日に入隊する一般男性たちに迷惑をかけたくないというチャン・グンソクなりの配慮なのだろう。これからしっかり兵役を務め上げ、2年後には一段とたくましくなって帰って来ることを期待したい。

【追記】

7月16日午前、チャン・グンソクは新兵訓練所に入所しないことが明らかになった。

スポーツ新聞『スポーツ朝鮮』が兵務庁関係者に問い合わせたところによると、精神病歴のために代替服務(社会服務要員など)の判定を受けた場合、軍事基礎訓練対象者から除外されるという規定があり、そりに基づいてチャン・グンソクは新兵訓練所ではなく、社会服務研修センターに入校した模様だ。

“双極性障害”(躁うつ病)”で4級判定を受けたチャン・グンソクは、そこで4泊5日の社会服務基本素養教育を受けるという。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事