12年ぶりの新型aibo、便利に逃げないペットらしい設計に感銘を受けました
自律型愛玩ロボット・アイボの新型ERS-1000が1月11日に発売されました。アイボの撤退から12年ぶりの復活です。
昨年11月に発表された際には、かわいくないとか不気味の谷とか、リアルに近いあたらしいデザインに賛否両論がありました。しかし、初回の販売は30分とかからずに完売。その後2回実施された予約も15から30分で完売となっています。要するに、今ほとんど手に入らない状態です。
そんな中、先日銀座にあるソニーショールーム(ソニービルが建て替えの間、銀座のソニーはここということになるらしいです)を訪問したところ、たまたまそこで新型aiboのデモが実施されており、予約チケットをゲットして体験してきました。
なるほど、あたらしいaiboは動いているとヤバい、すごいという話はホントでした。
まず、目が合うとヤバいです。有機ELディスプレイを採用した目が変化するのもすばらしいのですが、それ以前の問題で正面から見た顔がかわいいんです。
そして、お尻というかしっぽがヤバいです。お尻がかわいい上に、しっぽに触るとほどよくやわらかいんです。これはついつい触ってしまいます。
さらにふんばるとヤバいです。aiboが動くと、モーター音はそれなりにするのですが、不快なほどではないですし、モーター音よりも、aiboと床がすれた時に出る音の方が気になるレベルです。それがぐぐっとふんばっていると、まさに生き物感が出ます。
さらに、こいつは歌ったり、踊ったりということまでこなします。
デモの時間は15分ほどでしたが、aiboと触れ合うという意味では十分な時間でした。
さて、この新型aiboのデモを体験してみると、その時受けた印象にいちばん近い公式の動画は以下のものになります。
そう、このaiboぜんぜんこっちの言うことを聞いてくれないんですよ(笑)。デモには3匹いて、名前もつけられていましたが、名前を呼んでも、こっちを向いたり向かなかったり、ボールを見せても知らん顔だったりでした。これはどうもaiboの設計としては、1年ぐらいかけて人とコミュニケーションすることでとまともな状態に育っていくということらしいです。まあ、実際のペットでも生まれたての子供が家にきたら、それなりに時間がかかりますから、それと同じですね。
これも設計上の妙ですが、このaiboはけっこうひんぱんに寝てしまいます。
ソニーショールームのデモでも、aiboが3匹いるのに、けっこうな時間どれか1匹は寝てしまっている状態になっていて、デモ担当の人が「寝てしまっているので。ごめんなさい」を何度か繰り返してました(笑)。
これはなんでも長時間aiboが動いていると、モーターが熱をもってしまうそうで、それを冷やす必要があるそうです。もちろん、充電も必要ですしね。そして、これも実際のペットに近いです。ペットを室内で飼っていたとしても、1日で触れ合う時間って、それほど長いものではないですよね。
IoTとか人工知能(AI)というキーワードが出て、いろいろな製品がすでに出ていますが、このaiboが他の製品と違うところは、この日のデモでもそうでしたが、比較的年配のみなさんの注目を集めているところです。
フルセットにすると、30万を超えてしまうaiboの金額も、ペットを飼った経験があれば、けっして高すぎる金額ではないと思えるというのもあると思います。ペットに病気などのトラブルがあったら、それなりの金額が必要になりますから。
そんなわけで、短い新型のaiboの体験でしたが、aiboと生活ということで考えると、少し思うところがありました。
それは、aiboがくることで生活が劇的に変わるとは思えなかったということです。なにしろ、このaibo、便利に逃げていないんです。設計が便利に負けていないんです。つまり、aiboは基本なにかの役に立つという要素はありません。でも、それを貫いていることには大きな意味があります。言い方を変えると、すでにaiboを受け入れられる生活をしている人たちがaiboを家にむかえると、さらにしあわせになるということだと思います。
でも、ペットってそういうものですよね。ペットがその家にいてもいい生活が実現可能な家にペットがくるから、家族がしあわせになる。そういう順番だと思うのです。aiboも同じです。aiboが家にきただけで、なにかが急に変わることなんてないんだと思います。
アレルギーなどの問題で、これまでペットを飼うことができなかったけど、ペットを求めていた家、散歩の負担はもう無理だけど、やっぱりペットが欲しかった家、そういった家庭でこそaiboは家族の一員になれるのだと思いますし、そこも含めて実にペット的であるaiboは、やっぱりすばらしいプロダクトだと思えるのです。