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超有望株は“ミスチルの後輩”! ソフトバンク長谷川宙輝、未来の「HERO」を夢見る

田尻耕太郎スポーツライター
期待の19歳、長谷川宙輝投手(撮影:筆者)

内川が実戦復帰後初の長打

9月27日、福岡ソフトバンクホークスは、ウエスタン・リーグで中日ドラゴンズと対戦した。

【9月27日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1,484人】

中日     110010001 4

ソフトバンク 00020130× 6

<バッテリー>

【D】阿知羅、岸本、●小川(0勝3敗3セーブ)、武藤、野村――杉山

【H】高橋、長谷川宙、○伊藤祐(3勝4敗)、S野澤(2勝1敗1セーブ)――栗原、谷川原

<本塁打>

【H】江川3号

先発した高橋純平。課題はあったが8奪三振の力投(撮影:筆者)
先発した高橋純平。課題はあったが8奪三振の力投(撮影:筆者)

<戦評>

6連覇を逃したホークス2軍だが、シーズン終盤に意地を見せている。23日から4連勝だ。

この日の序盤はリードを許したが、しぶとく追いつき追い越した。

4回は江川の3号ソロと古澤の内野ゴロの間に同点。その後勝ち越されたが、6回は先頭の内川が二塁打を放ち、相手バッテリーのミスに乗じて追いついた。内川は実戦復帰4戦目で初めての長打だった。

3対3で迎えた7回は1死満塁から幸山の犠飛で勝ち越し。さらに代打・長谷川勇の2点打で追加点を奪った。

先発の高橋は5回3失点。最速148キロの力のある直球で8奪三振をマークしたが、全体的に球が高めに浮き課題も残した。勝ち投手は伊藤祐で3勝目。最終回のピンチの場面から登板した野澤が公式戦初のセーブをマーク。42試合登板は加治屋と並んでチームトップだ。(了)

ソフトバンク育成にまた超新星、19歳長谷川宙輝

これが育成選手か、と目を疑いたくなる選手がまたしてもソフトバンクに現れた。

育成ドラフト2位新人の長谷川宙輝(ひろき)だ。

背番号134のサウスポーは、6回から2番手で登板すると140キロ台後半のストレートを連発。この日の最速は148キロ。縦のスライダーも切れ味バツグンで、1回を打者3人無失点で抑え、2三振も奪った。

Mr.Childrenが高校の先輩だけど登場曲は・・・

東京都出身。聖徳学園高校で甲子園出場はなかったが、都大会で1試合20奪三振を記録するなど「西東京のドクターK」の異名をとった。ちなみに聖徳学園高校は人気ロックバンドMr.Childrenのメンバーの桜井和寿、田原健一、中川敬輔の出身校でもある。

ただ、長谷川宙は「48グループ」の大ファン。いつか一軍に昇格した時にヤフオクドームでの登場曲に採用するのは――と訊ねると、「もちろんHKT48です。グループ全体が好きですけど、福岡に来たので」と即答されてしまった(笑)。

平均球速が1年で10キロアップ

高校時代は最速144キロを記録したが、平均は130キロ台後半だったという。現在の自己最速は149キロで、コンスタントに140キロ台後半をマークしており平均球速はおよそ10キロもアップした。「自分でもびっくりしています」と目を丸くする。

「高校はそれほど練習量自体が多くなかったし、ウエイトトレーニングを本格的にやり始めたのもホークスに入ってから。ウエイトは好きです。体重は入団時から3キロアップ(72→75)くらいですが、体の中身は全然違うと思います。周りからも大きくなったと言われます。シーズンが終わりますが、秋もまだまだウエイトをしっかりやりたいし、投げるのが好きなのでキャッチボールもしっかりやりたい。キャッチボールから意識を高くやることも心がけています」

入来コーチ、田之上コーチに感謝

猛練習の陰に「入来コーチや田之上コーチ(ともに3軍投手担当)がいつも見てくれていたから、それに応えようと頑張ってこられたのだと思います。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と語る。

また、「将来はピンチの場面で出て、そこを抑えるリリーフ投手になりたいと今は思っています。理想の選手はチェン・ウェインさん(マーリンズ)と松井裕樹さん(楽天)です。1年目の目標は2軍で1試合でも投げることでした。もちろん早く支配下になりたいけど、焦らず、少しずつでも着実にレベルアップして力をつけたい」と目を輝かせながら話した。

ソフトバンクのファームには長谷川宙を含めて3年目の笠谷俊介、同じく高卒新人の古谷優人といった超有望株のサウスポーたちが名を連ねている。

かつて和田毅や杉内俊哉が君臨した時代のような左腕王国が、近い将来のソフトバンクでまた見られるのではなかろうか。水上善雄2軍監督にその話を向けると「本当だよね。私も考えただけでワクワクするんですよ」と優しく目を細めていた。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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