プロゴルフ界屈指の美人プロ・香妻琴乃、ファン待望の初V!見た目からは想像がつかない意外な素顔とは
「シードとかよりも、優勝しか見てないです」
どこで会っても、どんな状況でも、香妻琴乃が口癖のように語っていた言葉だ。
アマチュア時代はナショナルチームに入り、容姿端麗なことから“美人ゴルファー”として注目を浴びる存在だった。
若い女子に人気のファッションブランド「サマンサタバサ」の契約プロになったことは、その象徴だろう。さらに、プレー中に見せるにっこり笑顔がかわいらしいと評判になり、根強いファンを増やし続けた。
そんな外見とは裏腹に、性格は男勝り。勝ち気で負けず嫌いな一面は、うまくいかないときに表に出てしまうこともあった。
彼女も26歳になり、落ち着いて周囲を見渡せるようになったが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。
2012年にツアーに本格参戦し、14年に初シードを獲得。しかし、16年にシードを喪失。17年はQT44位から33試合に出場したがシード権を獲得できなかった。
今季はサードQTで失敗し、レギュラーツアーへの出場は限られ、4年ぶりにステップ・アップ・ツアーにも出場した。
何年か前、こんなことがあった。
練習後に撮影があると伝えていたのだが、汗だくのなかでも特に化粧直しはせず、「すぐ撮影しましょう!」と言ってきた。
普通なら化粧直しくらいはするお年頃。だが、自分の容姿に特に気を配るような様子がなく、そのギャップに驚いた。普段はサバサバしていて、ゴルフをしているときは、とことんゴルフのことしか頭にないゴリゴリのプロアスリートだった。
だからこそ、長引く不調の苦悩の日々がつらく長かったに違いない。「ゴルフが嫌になることもあった。やめたいとも思った」は、彼女の本音だろう。
一時期は体重が増え、周囲からの「太った?」の声がストレスになっていたことも明かしてくれた。
「もう本当にあとがないんで……」
今年の夏前、そうポロっと漏らしていた。だからこそ、香妻は本気で自分と向き合った。
「気分転換のつもりで」と初めてレッスンスタジオでパッティングの修正に取り組み、メンタルトレーニングも受けた。
7月から毎日5キロのランニングも欠かさず、ラーメンやカツなど大好きな食べ物も断って、3キロの減量に成功。スイングにキレが戻った。とにかく優勝することだけを見つめ、マンシングウェアレディース東海クラシックでそれを有言実行した。
本誌で連載をしてもらった時期、14年のミズノクラシックで2位タイに入ったあと、「このまま優勝するのかな」と振り返っていた。
勝てるという確信があったのだろう。だが、つかみかけた優勝はスルリと手のひらから抜け落ちた。
あれから4年――。ようやく長いトンネルを抜けた。
どん底にいても“優勝”を諦めず、成就させた香妻の強い意志に、改めて拍手を送りたい。
(『週刊パーゴルフ』10月9日号掲載)