衆院選への忖度?加計問題、あるはずの文書が「不存在」、開示する文書も衆院選後に―内閣府
学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に獣医学部新設する計画に、安倍晋三首相の意向が強く働いたことが疑われる問題で、関連の文書の情報開示請求を行った東京都在住の女性と弁護士が、今月17日、法務省記者クラブで記者会見した。情報公開請求に対し、内閣府は面談記録や獣医学部建築図面について「不開示」とし、特区ワーキンググループの議事録の開示を衆院選後の今月23日に先送りしたという。
◯あるはずの文書が「不存在」
都内在住で家族が今治市出身の女性は、今年8月から9月にかけ、内閣府に2015~16年の今治市職員や市議との面談記録を請求。これに対し、内閣府は今月13日「文書の存在を確認できず保有していない」と回答した。だが、今治市は墨塗りされたものではあるが面談の記録文書を開示しており(本記事末尾に画像)、その内容は加計学園の獣医学部新設についてのものだ。女性の代理人である加計問題情報公開弁護団の海渡雄一弁護士は「公文書管理法第4条で、行政機関の意思決定を検証できるよう、決定やその経緯について文書を作成しないといけないと定められています。今治市の記録からも内閣府が対応していたことは明らかで、文書が存在しないという主張はおかしい」と、内閣府の対応を批判した。女性は文部科学省へも情報公開請求を行ったが、同省は、獣医学部施設の図面について「新設の審査中のため不開示」と回答した。女性と弁護団は、今月17日、内閣府と文科省に不服を申し立てた。
◯衆院選への影響を忖度?
特区ワーキンググループの議事録については、当初、内閣府は9月21日に開示する予定だったという。ところが、内閣府は開示を今月23日に延長すると、女性と弁護団に伝えてきたという。17日の会見でフリー記者の田中龍作氏に「なぜ内閣府は開示を延長したのか?衆院選への影響を懸念したのではないか?」と質問された海渡弁護士は「なぜ10月23日まで延長したかの説明はなかった。あまりに微妙すぎる日程だ」と首を傾げた。
◯衆院選での加計隠し
今回の臨時国会の召集と同時の解散、総選挙は、加計問題や森友問題など安倍政権の疑惑を追及させないためではないか、と野党側は批判。これに対し、安倍首相は選挙期間中にも加計問題等について説明すると主張してきた。だが、実際には、安倍首相は充分な説明をしていない。内閣府が開示請求された文書を「不存在」としたり、その開示を衆院選後にしたことも、衆院選への影響を懸念する安倍政権への忖度ではないか―疑惑は深まるばかりだ。
(了)