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禁止薬物の使用でWBAスーパーライト級タイトルを剥奪された男がリングに上がる

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Alex Sanchez/TGB Promotions

 2022年8月20日、WBAスーパーライト級タイトル空位決定戦で、バティル・アフメドフを2-1の判定で下し、ドミニカ人初の同級世界チャンプとなったアルベルト・プエジョ(29)。彼は昨年5月、ローランド・ロメロを相手に初防衛戦を行う筈だった。

 だが、試合前にプエジョの禁止薬物使用が明らかになり、半年間の試合出場停止処分が言い渡される。タイトルを剥奪され、無冠となったドミニカ人サウスポーは、2023年12月16日に8回戦で勝利し、再浮上を目指している。

 今週末、WBAアメリカ大陸スーパーライト級のベルトを持つゲイリー・アントゥアン・ラッセル(27)戦を迎える。

Alex Sanchez/TGB Promotions
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 プエジョは言う。

 「物凄く調子がいい。最高のトレーニングキャンプをこなした。今の俺は強いぜ。今回の試合に向け、これ以上ないコンディションに仕上げた。自分に協力してくれたチームのメンバー全員に感謝する。どれほどの練習をしたかを、当日、証明するよ。

Alex Sanchez/TGB Promotions
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 ゲイリー・アントゥアン・ラッセルは、パワーのある偉大な選手だ。あんまり穴が見当たらないが、俺はヤツの弱点を見付けてしまった。リングで、丸裸にしてやるさ。俺はサウスポー同士の戦いが好きなんだ。キャンプでは、念入りにサウスポーとのスパーを重ねた。オーソドックスとは、全くやらなかったよ。

 現時点で、ラッセルほどの対戦相手はいない。もう一度世界タイトルを獲ってみせる。祖国、ドミニカのためにも素晴らしいファイトをし、かつ、勝利を届けるんだ」

Alex Sanchez/TGB Promotions
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 22戦全勝10KOのプエジョに対し、ラッセルは17戦全勝17KO。元WBCフェザー級王者のゲーリー・ラッセル・ジュニアの実弟である。勢いとパンチ力では、ラッセルが有利だろう。

 アフメド戦で再三ボディーを狙われながらも、我慢比べの接戦を制した際のプエジョは、粘り強かった。激しい打ち合いでも引かず、下がらなかった。

 そんな彼が禁止薬物に救いを求めたのは、世界チャンプであることの重圧に耐えられなかったからか。薬物に手を出したプエジョのメンタルは、今回のファイトにどんな影響を及ぼすか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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