エンジェルスが獲得した野手2人、グリチックとクロンは「打者天国」を離れても打てるのか
7月30日、ロサンゼルス・エンジェルスは、マイナーリーガーの2投手と交換に、コロラド・ロッキーズから外野手のランダール・グリチックと一塁手のC.J.クロン(と金銭)を獲得した。
彼らは、右打者、ドラフト1巡目にエンジェルスから指名されてプロ入り、通算200本塁打まで20本未満、シーズン30本塁打以上は1度、今オフにFA、といったところが共通する。
グリチックは、2009年のドラフト全体24位。その次の25位は、マイク・トラウトだ。エンジェルスは、フランシスコ・ロドリゲスとマーク・テシェーラの退団に伴い、これらの指名権を得た。メジャーデビュー前のトレードにより、グリチックはセントルイス・カーディナルスへ移籍した。
クロンは、2011年の全体17位。アンソニー・レンドーンとタイラー・アンダーソンは、この年の全体6位と20位だ。それぞれ、ワシントン・ナショナルズとコロラド・ロッキーズに指名された。2014年5月にメジャーデビューしたクロンは、2018年2月のトレードでタンパベイ・レイズへ。交換要員のPTBNL(後日決定選手)として、翌月にレイズからエンジェルスへ移ったのは、メジャーデビュー前のルイス・レンヒーフォだった。
グリチックは、昨シーズンからロッキーズでプレーしてきた。クロンは、2021年からだ。グリチックのホームとアウェーのOPSは、2022年が.851/.583、2023年は.945/.782。クロンは、2021年が1.073/.734、2022年が.955/.619、2023年は.816/.740。いずれも、ロッキーズの本拠地、「打者天国」のクアーズ・フィールドの数値がアウェーを凌いでいる。出塁率も同様だ。
今シーズンのクロンを除くと、ホームとアウェーのOPSは150ポイント以上の差がある(.001=1ポイントとして表記)。今シーズンのクロンは、ホームの数値がそう高くないのも、そこまで差が大きくない理由の一つだろう。
もっとも、シーズン30本塁打以上を記録したのは、2人とも、ロッキーズ時代ではない。グリチックは2019年にトロント・ブルージェイズで31本、クロンは2018年にレイズで30本のホームランを打っている。
また、今シーズンのテイラー・ウォードのスタッツ(シーズン全体)とグリチックのスタッツ(アウェーのみ)を比べると、出塁率は.335と.338、OPSは.756と.782だ。出塁率はほとんど差がなく、OPSはアウェーのグリチックのほうが高い。クロンの場合、アウェーの出塁率.280はエンジェルスの一塁手全体より低いものの、OPS.740は勝る。
グリチックもクロンも、「打者天国」を離れ、シーズン全体のスタッツは低下する可能性が低くない。それでも、2人の加入は、エンジェルスにとってプラスになり得る。