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ブッフォンが7369日ぶりのパルマ再デビュー、Z世代と目指す43歳の「狂気と夢」

中村大晃カルチョ・ライター
パルマに復帰したブッフォン。写真は8月1日の親善試合サッスオーロ戦(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

8月20日、2021-22シーズンのセリエB(イタリア2部)が開幕した。フロジノーネ対パルマの一戦で、ジャンルイジ・ブッフォンがパルマでの再デビューを飾っている。

パリ・サンジェルマンに移籍した3年前に続き、ユヴェントスに2度目の別れを告げたブッフォンは、ユニフォームを脱ぐのではなく、20年前まで在籍していた古巣に戻ることを選んだ。

5月、ユヴェントスでのラストゲームとなったコッパ・イタリア決勝でトロフィーを手にしたブッフォンは、「最も刺激的」で「狂気の中の狂気」と感じる挑戦に臨みたいと話した。その狂気とは、主役として勝利を手にすることだ。

6月の『スカイ・スポーツ』のインタビューで、ブッフォンはチャンピオンズリーグでタイトルを競うクラブからもオファーがあったことを明かしている。だが、ユヴェントス以外で控えとして勝利を目指すことはしないと述べた。

引退して当然の年齢、しかも強豪からの誘いを断り、チョイスしたのがセリエBに降格したパルマへの復帰なのだから、「狂気の中の狂気」というのも大げさではない。

だが、コッパ・イタリア優勝後、ブッフォンは「こうやって43歳までこられたのは、そのちょっとの狂気で限界をもうけず、人生で常に夢を見てきたからだ」と話している。

「夢を見て、新たな展望があると幸せなんだ。何も勝てないかもしれないが、そこは興味ない」

そして選んだパルマの地で、ブッフォンは再びピッチに戻ってきた。パルマでの公式戦出場は、2001年6月17日のセリエAローマ戦以来、じつに7369日ぶり。フロジノーネ戦でともに先発出場したチームメートには、当時まだ生まれていなかった選手もいる。

ブッフォンの元同僚エンツォ・マレスカが指揮を執り、パレルモやセビージャで活躍したフランコ・バスケスも擁するパルマは、先制されながらも逆転したが、88分に失点。2-2で引き分け、勝ち点を獲得したが、勝利目前で3ポイントを失った。

試合後、ブッフォンは自身のツイッターで「目標達成のために全力を尽くす。厳しく、長い、拮抗したリーグ戦になるだろう」と述べている。

「自分たちが望むものを手に入れるためには、すべてのボールにファイトしていく必要がある」

その結果、セリエA昇格を果たすことができれば、まさに夢物語だ。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙のアンドレア・スキアンキ記者は、パルマ復帰が正式に決まる前に、「過去20年で最強の守護神がセリエBで引退すると決めたら、狂気とはいわずとも奇妙に思う人もいるかもしれない」と記した。

「だが、まさにそれが挑戦だ。そしてブッフォンは常に挑戦を好んできた。育ったチームをセリエAに戻し、45歳でもう1年セリエAを戦う可能性。実現すれば快挙だ」

クレイジーなブッフォンは、その夢をかなえることができるだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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