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国内出場解禁の茂野海人、日本代表での下剋上へ。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
2016年6月にはスコットランド代表戦に出場(写真:つのだよしお/アフロ)

 ラグビー日本代表は10月14日、合宿地の宮崎に集合。2017年春以来の復帰となった茂野海人が、激しいスクラムハーフの定位置争いに「誰にも負けないようにやっていきたい」と意気込んだ。

 チームは26日の世界選抜との強化試合(大阪・東大阪市花園ラグビー場)、11月3日のニュージーランド代表戦(東京・味の素スタジアム)、現地時間17日のイングランド代表戦(ロンドン・トゥイッケナムスタジアム)、同24日のロシア代表戦(グロスター・キングスホルムスタジアム)を見据える。

 27歳の茂野はNEC時代の2015年にニュージーランドのオークランド代表としてプレーし、2016年には日本のサンウルブズに入って国際リーグのスーパーラグビーにも出場した。しかし2017年は、国内所属先をトヨタ自動車へ変える際に当時の移籍規定に抵触。日本での公式戦出場を禁じられたなか、国際舞台からも遠ざかった。

 2018年5月9日に「第一次ラグビーワールドカップトレーニングスコッド」に、国内トップリーグでのプレーが解禁されたばかりの同8月29日発表の「第二次ラグビーワールドカップトレーニングスコッド」にリストアップされ、9月24~27日の候補合宿にも参加。久々の代表でのプレーぶりが注目される。

 宮崎に集合する前日の10月13日、東京・秩父宮ラグビー場でNTTコムとのトップリーグ第6節に先発フル出場。38-36で勝利した後、記者団の前で語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――代表活動へ。ここからはいったん、トヨタ自動車を離れます。

「姫野和樹と僕とヘンリー ジェイミーが離れることになりますけど、バイスキャプテンの岩村昴大もいますし、外国人選手のジオ・アプロン、クランチ(ライオネル・クロニエ)は試合中にしっかり声を出してくれて、リーダーとしての力を発揮してくれている。フォワードのところは、姫野が1か月半離れることで自分たちがやらないといけないという風に思ってもらって、チームを引っ張れる選手が出てくれば、姫野が帰ってきた時にやりやすくなる。ワンチームになって優勝できるようにやっていきたいです」

――ご自身は、オールブラックスことニュージーランド代表との勝負に挑みます。

「スクラムハーフとしてゲームに出ることを意識してやっていけたらと思います。フミさん(田中史朗)、流(大)はジェイミーからの信頼感も強いと思う。(自身が)どれだけできるかがいま、試されている。この前のトレーニングスコッド(候補合宿参加組)で選ばれた5人のうち、今回外れた内田(啓介)、日和佐(篤)さんもトップリーグではレベルの高いプレーをされている。気を抜けば代えられると思うので、スタンダードを上げて信頼を得て、ワールドカップの試合に出られるようにしていければいいと思います」

――ジェイミー・ジョセフヘッドコーチとはコミュニケーションを取りましたか。

「ニュープレーヤーは、合宿中のワンオンワンのミーティングで話をさせてもらいました。トヨタに移ってよかった、キッキングゲームの部分で伸びてきている部分があると言ってもらえた。ただ、スクラムハーフからのひとつのプレーで流れを変えてしまうことがあるので、もっとスタンダードを高くしていけたら。きょうの試合では敵陣に入らなくてはならないところでキックミスがあったり、ボールキープするところでインターセプトをされたり。正直、納得いかないところがあります」

――ジョセフの戦術などにフィットできるか。

「あまりやっていないので何とも言えないですけど、フィットさせるのが選手の仕事。しっかりチームに入って、わからないことがあれば周りの選手やジェイミーに聞いて、早めにフィットしていければと思います。NECにいる頃よりもウェイトをやったので、体重は80キロあるんです。これを78.5か79までは絞りたい。トヨタで80分間走れたとしても、代表ではもっと走ることになると思うので、運動量を上げられるようにしたいです。トランジション(攻守の切り替わりへの反応)も速くしたいですし」

――アピールポイントは。

「僕のプレーは強気に行くところがいいのかなと自分で思います。負けず嫌いなので、一番で出たい。ゲームコントロールも、球出しも、誰にも負けないようにやっていきたいです」

 パススピードと「強気」な攻めを持ち味とし、田中、流という常連組との定位置争いに挑む。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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