トラウタニ弾炸裂でも『なおエ』な理由は『上位打線偏重』にあり?
6月28日(日本時間29日)のシカゴ・ホワイトソックス戦で、3打数3安打2打点1本塁打と活躍したロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。この試合ではマイク・トラウトもホームランを放ち、今季4度目(通算18度目)となる『トラウタニ弾』となったが、試合は11対4で大敗。
ネットでは大谷が活躍してもエンゼルスが試合に敗れる現象を表す『なおエ』がトレンドの上位にランクインした。
エンゼルスの4点中、3点は2番打者のトラウトと3番打者の大谷が打点を記録したもの。
3回裏にトラウトが今季23号ソロ本塁打を放つと、大谷も17号ソロ本塁打で続いた。大谷は7回裏にも適時二塁打で打点を挙げたが、エンゼルス投手陣が大量11点を許して、試合は大敗した。
今季のエンゼルス打線は、1番から3番打者まで長打力のある打者を揃えているが、4番以降の打者が迫力不足で、極端な上位打線偏重となっている。
ホームラン数は1番打者から3番打者まで二桁を記録しているのに対して、4番打者から9番打者までは全て一桁台。
出塁率と長打率を合算したOPSは、1番打者から3番打者までは.867だが、4番から9番打者までは.624と大きく下がっている。その差は.243で、データ調査会社『インサイド・エッジ」の調べによると、これはメジャー30球団最下位の数字である。エンゼルスの次に差が大きいミネソタ・ツインズでも.192であることから、エンゼルスの過剰なまでの上位打線偏重ぶりが見えてくる。
1番から3番打者までと4番から9番打者までのOPSの差
1位:エンゼルス .243
2位:ツインズ .192
3位:ドジャース .165
4位:レッドソックス .149
5位:パイレーツ .135
メジャー平均 .066
その差が2割以上もあるチームはエンゼルスだけで、2位のツインズとの差は5分以上も開いている独走状態。また、約半数の14チームは4番から9番打者までの方がOPSが高い。
エンゼルスの打順を見てみると、1番打者はテイラー・ウォードが42試合で先発、次に多いのは大谷の21試合。2番打者はトラウトが49試合で先発、大谷は16試合、そして3番打者は大谷の33試合先発が最多で、他に二桁試合で先発起用されているのはトラウト(17試合)、アンソニー・レンドーン(13試合)、ジャレッド・ウォルシュ(10試合)がいる。
ここ最近は1番ウォード、2番トラウト、3番大谷が定着しているが、この3打者が活躍しても、残りの4番から9番打者が沈黙して負けるケースが多い。
大谷が孤軍奮闘していた昨季よりはマシな状況だが、トラウトと大谷というメジャーリーグを代表するスーパースターが活躍を続けても勝てないのが野球。他の選手が奮起しないようだと、まだまだ『なおエ』は続きそうだ。