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特別なクリスマスギフト。香川真司が子供たちに「与えたもの」と、香川真司が子供たちから「もらったもの」

浅野祐介ウォーカープラス編集長
自ら主催した神戸のイベントで子供たちとサッカーを楽しむ香川真司 [写真]=千葉格

『Santa Claus Is Coming To Town』

2015年のクリスマス、「香川真司」という名のサンタクロースが、子供たちに素敵なギフトを届けた。

クリスマスイブの12月24日、香川真司自らが主催するイベント「#ShinjiDream Christmas(シンジ ドリーム クリスマス)」が、兵庫県神戸市の神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で開催された。

このイベントは、生まれ故郷である兵庫の地に恩返しがしたい、子供たちに夢を与えたいという香川の想いから開催が実現したもので、香川自身がプロデュースした初の本人主催イベント。イベントの開催告知が4日前の12月20日からスタートと募集期間が短かったことに加えて、「平日の昼間だから、どれだけ集まるか心配だった」と語っていた香川の心配をよそに、イベントには約1500人が来場し、約500名の子供たちが「憧れの選手と一緒にボールを蹴る時間」を楽しんだ。

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「公園でサッカーをする感覚で、たくさんピッチを走り回ってほしいです。公園に遊びに来たら“たまたま香川真司がいた”、それくらいの気楽な気持ちで楽しんでほしい」

香川の“開幕宣言”でスタートした第1部のイベントには4歳から6歳までの子供たちが参加。ピッチ上で香川と一緒にボールを蹴り合った。約80分間、ノンストップで子供たちとプログラムをともにした香川は「このくらいの年齢の子供は本当に元気で、ずっと走り回っていられます。走っているだけでうれしそうな表情をする純粋な姿を見て、昔の自分を思い出したし、刺激をもらいました」と、うれしそうに振り返った。

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さらに、ピッチで一緒にサッカーを楽しんだあとには、参加者の「夢をかなえる時間」を用意。「リフティングを一緒にしたい。サッカーを教えて欲しい」という男の子とリフティングを行い、「肩車をしてほしい」という男の子を肩車し、女の子をお姫様だっこし、「カッコイイです。日本をワールドカップ優勝に導いてください。あと、壁ドンをしてください」という女性にはスタッフの背中を借りて“即席壁ドン”のサービスも。「バロンドールを獲得してチャンピオンズリーグ優勝を、ワールドカップ優勝を、世界一の選手になってほしい」という願いには「努力してがんばります」と力強く答えた。

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イベント中には、参加者の男の子が迷子になるハプニングが発生し、香川が自らマイクを手に取り「香川真司がお呼びです。おったら手挙げてよ」と呼び掛ける場面も。イベント中断から約30分後に競技場の外で発見され、母親と再会した男の子の姿を見て、香川は泣きじゃくる男の子を抱き寄せ、頭をなでて「見つかって、良かった」と安堵の表情を浮かべた。

イベントの第2部では、香川が兵庫県内の小学1から3年生の男女31人と8分ハーフで対戦するスペシャルマッチも開催。“泣きの延長戦”を希望するなど、楽しみながらイベントを盛り上げる香川の姿がとても印象的だった。

「何人来てくれるか分からないままこのイベントを開催しましたが、こんなにもたくさんの子供たちが来てくれて、こんなにたくさんの人が集まってくれて、こんなにたくさんの人に応援されているんだなと肌で感じることができました。またさらに努力して、もっともっと世界的なサッカー選手になれるようにがんばっていきたいと思います。子供たちも大きな夢を抱いてくれればと思いますし、大きな夢に向かってチャレンジしてほしいなと今日あらためて思いました。それを今日のイベントを通じて感じてくれたらなと思います。メリークリスマス!」

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イベントの閉会式でそう語った香川は、報道陣からの取材タイムでも終始、笑顔を見せた。

「自分はサッカー選手なので、サッカーを通じて何かできたら、地元・神戸で何かできたらと考え、小さい子供たちと一緒にサッカーしたかったので、それが実現できて良かったです。将来、プロ選手になって、世界で活躍してくれたらと思いますし、刺激になってくれたら、これを機にたくさんの子供たちがサッカー選手を目指してくれたらと思います」

「子供たちは本当にずっと元気だし、その表情を見てもうれしそうで、純粋に走る姿を見て刺激をもらったし、フレッシュな気持ちになれた。僕も同じように、サッカー選手になることを目標に、無邪気に走り回って、遊んで、サッカーをして、それを続けたから今があるし、目標を持って続けたからプロサッカー選手になれた。みんなにチャンスがあるし、可能性はたくさんある。自分を信じて夢を追いかけてほしいです」

さらに、ちびっ子記者からの「先制点を取られたときはどんな声をかけますか?」という質問には、「どうしてもチームとして焦ったり、負けるんじゃないかって気持ちになるけど、90分通しての試合だから、最後まで闘い続ける、強い意志を持って戦うことが大切。諦めなければ大丈夫」と回答。「サッカーを通して伝えたいことは?」という質問には「毎日サッカーしたり、野球したりでもいいし、夢を持って生活してほしいし、夢を持ち続けてほしい、夢に向かってチャレンジし続けてほしい、ということだね」と優しく対応した。

ピッチでのイベント後には、ファンとのプレゼント交換企画も実施。今回、自らが主催したイベントについて、あらためて質問を投げかけてみた。「終えてみてどうですか?」と。香川は笑顔でこう答えた。

「たくさんの子供たちと、ファンの方と触れ合える企画を考えていましたが、こんなに子供たちがたくさん来てくれるとは思っていなかったですし、ファンの方もスタンドで寒い中、長時間見ていただいて、自分自身が逆にクリスマスプレゼントをもらったなと感じています。僕を応援してくれている人がこんなにたくさんいるんだと感じれる1日だったので、またさらに2016年、ドルトムントでもっともっと結果を残して、みんなの期待に応えられるように、がんばりたいと思います」

そして翌25日のクリスマス、香川の姿は仙台にあった。

イメージキャラクターを務めるヤンマー株式会社のクリスマスイベントに登場し、子供たちにプレゼントを贈呈。宮城県で行われた今回のイベントは、東日本大震災で被害を受けた現地の農業復興に貢献するためにヤンマーが設立した『アグリソリューションセンター仙台』のプレオープン企画として開催されたもので、香川は参加した子供たちと握手を交わし、プレゼントを手渡した。

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香川にとって仙台は、中学入学を機に生まれ育った神戸からFCみやぎバルセロナのジュニアユースに“サッカー留学”をした思い出の地。高校在学中にセレッソ大阪と契約を結ぶまで過ごした思い出の地に凱旋を果たし、「今の自分があるのは仙台でサッカーをしたから。今の自分の土台を作ってくれた場所に戻って来られて本当にうれしいです。中学・高校と夢を追いかけた場所で、サッカー選手になるために一番重要な時期を過ごしたと思っています。思い入れが強い場所ですね」と振り返った。

「仙台、宮城は自分の第二の故郷だと思っています。自分自身は復興支援のためにサッカーを通して、夢や希望を与えられるように、このようなイベントなども含めた活動を行っていきたいと思っています」

「子供たちには、たくさんの夢や希望を持ってそれに向かってがんばってほしいと思っていますし、今なお僕自身も夢に向かって努力を続けています。今日のようなイベントを通して、仙台から多くの子供たちが世界に羽ばたけるように、大きな目標を持って、日々がんばってくれたらうれしいですね」

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自らがすべてをプロデュースした地元・神戸でのクリスマスイベントと、第二の故郷である仙台でのヤンマー株式会社とのクリスマスイベント。香川真司は子供たちに「夢を追いかけることの大切さ」を伝え、逆に香川は子供たちの笑顔から「夢に向かって努力を続けるための新たなエネルギー」をもらったはずだ。

ウォーカープラス編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAで『ウォーカープラス』編集長を担当。2022年3月にスタートした無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」では、メディアの観点から全プレスリリースに目を通し、編集記事化の監修も担当。

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