激戦続く地方大会! 週末には波乱が相次ぐ!
沖縄尚学が、日曜日に全国のトップを切って甲子園出場を決めた。「バーチャル高校野球」のおかげで、全国の多くの試合をほぼリアルタイムで見ることができる。土日には多くの注目カードがあり、甲子園に出れば優勝候補に挙がってきそうな強豪や、センバツ出場校が敗れる波乱も少なくなかった。
沖縄は「2強」が準々決勝で敗れる
沖縄は、センバツ出場校で春の九州大会を制した具志川商と春夏連覇の経験がある興南の「2強」が軸とみられていたが、準々決勝で相次いで敗れた。具志川商は知念にサヨナラで。興南も名門・豊見城に終盤、逆転され、競り負けた。沖縄尚学は、「2強」と戦わずして、甲子園切符を手に入れたが、近年は下馬評を覆して県大会を制することが多くなった。甲子園でも活躍するだろう。
仙台育英が仙台商に苦杯
土曜日の波乱は、センバツでも優勝候補に挙げられた仙台育英(宮城)の敗退だろう。投打とも全国トップクラスの陣容で、甲子園は確実とみられていた。相手の仙台商は公立の名門で、昭和58(1983)年夏が最後の甲子園だが、赤いアンダーシャツと胸の「S」の花文字は変わっていない。12年前、仙台女子商との統合を機に、校歌も校章も一新された。新しい校歌を甲子園で響かせることができるか。
センバツ出場校や有力校も姿消す
日曜日には、センバツ出場の下関国際(山口)と柴田(宮城)が敗退した。下関国際は宇部鴻城と初戦で当たり、力を発揮できなかったようだ。柴田は1点差で仙台西に惜敗し、8強を前に姿を消した。鳥取では、2年連続センバツ出場の鳥取城北が、名門の鳥取西に終始リードを奪われ、逃げ切られた。今さらながら、春夏連続がいかに難しいかを痛感させられる。それより前には、一昨年甲子園4強の中京(岐阜)も初戦で多治見工に逆転負けを喫した。有力校が、軌道に乗る前に敗れ去るのは標的にされるからだが、一発勝負の怖さを見せつけられた思いがする。
平安は乙訓にリベンジ許す
春夏甲子園出場75回を誇る龍谷大平安(京都)は、3回戦で延長の死闘の末、乙訓に敗れた。この両校は秋の府大会決勝で当たっていて、平安の敗退は波乱とは言えない。平安の今チームは軸になる投手がおらず、有力校との対戦で、弱点が露呈した。登板した5投手がいずれもピリッとせず、四球から崩れる場面が目立った。それでも9回2死から2点差を追いついた粘りはさすがで、名門の意地は見せた。乙訓は、秋、春ともあと一歩で優勝を逃していて、リベンジの気持ちが勝利を手繰り寄せたのだろう。
大阪桐蔭は初戦コールド発進
近畿のほかの有力校では、大阪桐蔭(タイトル写真は春の近畿大会優勝時)がようやく日曜日に初戦(2回戦)で、大阪学院大高を9-1の7回コールドで退けた。履正社も初戦を快勝していて、「大阪2強」の対決がどこで実現するか、興味深い。今チームの力関係ははっきりしていて、履正社の苦戦は免れないが、直接対決がなかっただけに、大阪桐蔭はやりにくいだろう。センバツ出場で春の府大会も圧勝した京都国際は、京都翔英を破って、第一関門を突破。近江(滋賀)は北大津を寄せ付けず、3回戦進出を決めた一方、滋賀学園は終盤の逆転で辛くも水口に勝った。次の比叡山も難敵で、苦しい試合が予想される。
奈良、和歌山、兵庫も順調な滑り出し
2強の対決ムードが濃厚な奈良と和歌山は、順調な滑り出し。当たるとすれば天理と智弁学園は決勝で。市和歌山と智弁和歌山は、準決勝を前に抽選があるため、準決勝での可能性もあるが、両県ともそれまでの対戦相手は目の色を変えて向かってくる。油断は禁物だ。混戦ムードの兵庫は、センバツ出場の神戸国際大付や春の県大会優勝の神港学園、好投手がいる報徳学園や神戸弘陵などが勝ち進んでいる。兵庫と大阪は出場校も多く、再抽選もあるため、ヤマはまだかなり先になりそう。
コロナ「辞退」のチームも忘れずに
昨年は、甲子園だけでなく地方大会も中止だったので、2年連続出場は存在せず、沖縄尚学も「2大会連続」出場と表記するしかない。歓喜の瞬間に酔いしれるチームがある一方、敗退ではなく、コロナによる「辞退」という形で、不本意なフィナーレを迎えてしまったチームがあることも、決して忘れてはならない。