東京五輪への韓国人の複雑な反応 「ボイコット賛成」の世論調査とは真逆の国民請願の関心の低さ
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の公式ホームページの日本地図に竹島(韓国名:独島)が表示されていることに反発する韓国では東京五輪ボイコットの動きが日増しに強まり、直近の世論調査では国民の10人中7人が「竹島表記」が削除されない場合の選択肢としての五輪ボイコットに賛成していた。
(参考資料:「東京五輪ボイコット」に傾く韓国の世論 最新世論調査で判明!)
韓国社会世論研究所(KSOI)が韓国の放送局「TBS」から委託され5日から6日の両日にかけて行った世論調査ではボイコット「賛成」は67.6%に達し、また保守系インターネット新聞「デイリアン」が6月第1週に行った世論調査でも71.9%がボイコットを支持していた。
しかし、先月(5月)27日から始まった青瓦台(大統領府)への「東京五輪組織委員会が独島を日本の領土として表記を強行した場合、五輪不参加を宣言すべきである」ことを求めた国民請願の賛同者は今日(10日)11時現在、6万8559人と、意外にも伸びていないことがわかった。
ボイコット賛同者は今月1日の時点での4万9216人から10日間で1万9343人しか増えていない。1日計算で約1934人である。
青瓦台への嘆願は6月26日までの1か月間に20万人に達すれば、文政権は対応しなければならないが、仮にこのままのペースだと、残り16日間で約3万944人しか増えない計算となる。これでは20人万人どころか、約半分の10万人にも満たない。
この数字がいかに少ないかは、以下の請願と比較すると、一目瞭然である。
性暴力を訴えて自殺した女性空軍兵士の両親の請願「愛する私の娘・空軍中士の無残な死の真相を明らかにしてください」は6月1日に始まり、今日までの10日間で36万9736人の賛同者を集めている。
また、ソウル中央地裁は7日に日本企業に賠償を求めた元徴用工の訴えを却下する判決を下したが、判決に不服の関係者が翌日(8日)に起こした「反国家、反民族的判決を下した判事の弾劾を求める」請願は僅か2日間で20万人を突破し、26万4702人となっている。
すでに5月19日に終了しているが、女性の徴兵制度を求めた請願(「女性も徴兵対象に含めてください」)は29万3140人に達していた。
また、マスク未着用で乗車拒否をされたことに腹を立て、タクシー運転手を無差別暴行した20代の男性に対し「重い処罰」を求めた請願(6月6日終了)も20万を越え、25万6205人に達していた。
与党「共に民主党」の大統領候補である丁世均(チョン・セギュン)前首相や李洛淵(イ・ナギョン)元首相、それに野党「国民の力」の重鎮である黄教安(ファン・ギョアン)元代表や羅卿元(ナ・ウンギョン)元院内代表らが異口同音に五輪ボイコットを口にし、さらには慶尚北道や京畿道の道議会が地図から「竹島」が削除されない場合、ボイコットも辞さないとの決議を採択した割には五輪ボイコット問題では国民の関心が低いことがわかる。
与党の最有力大統領候補である李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事も抗議の輪に加わり、1日には国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長宛てに書簡を送り、「竹島」削除への協力を直訴していたが、書簡ではボイコットについては直接意思表示してなかった。しかし、昨日、李知事は自身のフェイスブックで「東京五輪のボイコットを真剣に検討すべき時が来た」と述べていた。
李知事は日本政府が無視し続け、IOCが仲裁せず、日本に同調するならば「簡単に決定すべき事柄ではないが、五輪ボイコットも止むを得ない」との立場を明らかにしたが、これが今後、大統領府への国民請願にどのような影響を及ぼすのか、注目される。