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組織・チームの「空気」を4種類に分けてみた

横山信弘経営コラムニスト
チームの空気を「紐の結び目」で表現してみた……

4種類の「場の空気」

組織・チームの成績は「場の空気」に強く影響を受けます。(※チームの成績に強く影響する「場の空気」とは?を参照してください)

その「場の空気」を私は4種類に分けているのですが、空気の種類を解説する前に、良い空気の条件について考えてみたいと思います。私は次のような判断基準を持っています。「場の空気」が良いと、「間違っていることを『間違っている』と指摘し合える」。これが条件です。それでは「場の空気」を種類ごとに見ていきましょう。

私は「場の空気」を4種類に分類しています。「紐の結び目」にたとえて「締まった空気」「緩んだ空気」「縛られた空気」「ほどけた空気」と表現しました。

「締まった空気」は、まさに紐でキチンと締めている状態を指します。「最近たるんでいるから、引き締めないといけないな」という感じで使いますよね。他にも「締まった筋肉」「引き締まった体」などと使用します。キツすぎないけれども、一定の緊張感が持続する空気が「締まった空気」です。

「緩んだ空気」は、締めたのに、時間とともに緩んできた状態を指します。靴の紐も、歩いたり走ったりしていると次第に緩んできます。自然な現象ですので、もう一度締めなおしましょう。そのまま放置しておくと、ドンドンと緩んできます。体の状態をあらわすのにも「体がたるんできた」「張りがなくなってきた」という表現は使いますよね。

「縛られた空気」は、キツく締めつけられた状態を指します。「縛った」ではなく「縛られた」と表現しているのは、誰か特定の人物によってキツく「縛られた」ことを意味しています。縛られていると、身動きがとれなくなり不自由な感覚、窮屈な気分を味わうことでしょう。

「ほどけた空気」は、緩みすぎてほどけたか、それともキツく縛りすぎて切れてしまった状態を指します。この空気が蔓延しているチームは、倫理観が欠如しており、まさに「モラル・ハザード」を起こしています。「約束などできない」「目標など達成できるはずがない」など、公然と後ろ向きな発言をする人が現れ、チームとして崩壊に向かっていると言えます。

組織・チームのライフサイクルごとの「場の空気」

チームのライフサイクルに沿って説明すると、もう少しわかりやすくるなると思います。「黎明期」「成長期」「過渡期」「衰退期」の4ステージと、空気の4類型とで表現すると、次のようになります。

●「チーム黎明期」……チーム発足当時は、一定レベルの緊張感が漂っているものです。何事もスタート時はストレス耐性が高い時期ですので、リーダーはチームを引き締めやすいと言えます。普通は「締まった空気」が蔓延していることでしょう。

●「チーム成長期」……営利目的でなければ、結果が出なくともチームは存続します。しかし営利目的の企業であれば成長期を迎えない限り存続できません。商品の良さ、創業者のパワーなどにより、ほとんどのケースで成長期を迎えます。しかし順調なときほど気が緩みます。メンバーに宿る慢心が「場の空気」を悪くします。「緩んだ空気」になりやすい時期と言えるでしょう。

●「チーム過渡期」……チームが順調に成長し続けることは極めて稀です。アップダウンを繰り返しながらチームは存続するものです。何らかの事情でチームの成績が振るわなくなったとき、対策は3種類に分けられます。「原点回帰」「放置」「専制化」です。後述しますが、「原点回帰」をすれば「締まった空気」に戻ります。「放置」すれば「緩んだ空気」がエスカレートしていきます。強力なリーダーの元、独善的な指導がはじまれば「縛られた空気」へと変わっていきます。まさにこのステージが過渡期と言えるでしょう。

●「チーム衰退期」……「緩んだ空気」のまま放置しておけば、当然に「ほどけた空気」へと進んでいきます。説明不要でしょう。「自由」の意味を勘違いし、「モラル・ハザード」へと突き進んでいきます。「縛られた空気」のまま放置してもチームの状態は好転しないでしょう。しかしながら崩壊へのカウントダウンはすぐに始まりません。たとえリーダーが身勝手で自己中心的であろうと、それほど急速に成績が下降することはないのです。ただ「縛られた空気」の中に長期間いると、精神衛生上よくありません。優秀な人材が「場の空気」に耐えられなくなり外へ逃げ出すことも出てきます。成績を急回復させるために、専制的なリーダーが必要な時期もありますが、この時期が長すぎると張りつめた空気が広がり、チームは衰退していきます。

「間違っている」と相互に言えるか?

前述したとおり、良い空気の条件は、「間違っていることを『間違っている』と指摘し合える」。と書きました。特にリーダーからメンバー、上司から部下、先輩から後輩に「それは間違っている」と言えることが重要です。そういう意味では、チームに「締まった空気」があれば「間違っている」とハッキリ言えることでしょう。しかし「緩んだ空気」だと、なかなか言えません。たとえ注意したとしても「そこまでやる必要があるんですか?」「やってもやらなくても結果は同じでしょう」と反論されることもあります。さらに「なあなあ」になっていくと、上下関係にあるにもかかわらず見て見ぬふりをして「ほどけた空気」へと一直線です。

「縛られた空気」があると、とりわけ上から下へは「間違っている」と言いやすい雰囲気です。したがって前述したとおり、ある一定の規範は守られるのです。ところが下から上への指摘はご法度です。上司の発言が的を得ていない場合、普通なら「そうではないと思います」と反論できるはず。しかし「縛られた空気」が蔓延していると、とてもそのような雰囲気ではありません。部下が上司に歯向かうと、さらに縛り付けられると思い込んでいるからでしょう。このように空気が悪化していきます。

空気が緩みはじめたら「原点回帰」すること。空気の状態をリセットすることが大事ですよね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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