子どもの前で夫婦喧嘩をしてしまった…これってマルトリ?フォローとしてやるべきたったひとつのこと
共働きで、未就学の子が2人います。
家事や育児の分担のことで、不満が溜まってつい夫とケンカしてしまいます。
子どもの前ではケンカしてはいけない、と思っているのですが、イライラが抑えられずに口論になってしまうことがあります。
子どもたちから「やめてよ!」と泣かれて我に返ることもあり、本当に自己嫌悪です。
これはマルトリートメントになりますか?
喧嘩がやめられないときはどうしたらいいですか?
ご相談をいただきました。ありがとうございます。
マルトリートメントとは、不適切な養育を指します。
健全な成長や発達を阻むすべての行為がマルトリートメントとされますが、マルトリートメントを全くしていない親というのも珍しいと体感しています。
大切なのは、夫婦喧嘩を見せてしまった後のフォローです。
この記事で詳しく解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
子どもの目の前で喧嘩をしたら起こること
子どもに直接言葉を投げつけずとも、大好きなお母さんとお父さんが喧嘩することで子どもの脳内にはストレスホルモンが分泌されます。
小児精神科医の友田先生がハーバード大学と共同で行った研究では、幼少期にDVを目撃して育った人は、脳の特定部位に影響を受けることがわかりました。
具体的には、夢や言葉の理解に関わる「舌状回」と呼ばれる領域が、平均して約6%縮小したのです。
この現象は、生き残るための無意識の適応行動として解釈されます。
この視覚に関連する部位の縮小は、他人の表情を読み取る能力に影響を与え、これがコミュニケーションの難しさにつながります。
怒ったり泣いたりする両親の表情を読み取って、自分が傷つかなくていいように…
本来自分を守ってくれるはずの家庭で、守ってくれるはずの両親が喧嘩をしているという環境を生き延びるために脳が変形するのです。
ただ、成長過程の子どもの脳は、回復する力をもっています。
もし子どもの前で夫婦喧嘩してしまったらこの後の記事で解説するアフターフォローを実践してみてください。
参考:友田明美『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版新書)
子どもの前で夫婦喧嘩したときのアフターフォローはたったひとつ
子どもの前で夫婦喧嘩をしてしまった経験のある人は、日常的に相談を受ける保健師の体感ではあるが、けっこうな割合で存在しています。
それでは、夫婦喧嘩を目撃したすべての子どもの脳が変形するかと言うとそういうわけではありません。
夫婦喧嘩をしてしまったあとには、仲直りする姿をみせるようにしてください。
「さっきは感情的になってしまって…言い過ぎてごめんね」
「こっちも、ちょっと気持ちを考えられてなかった、ごめん」
「感情的になってしまった」「相手の気持ちをしっかり考えられていなかった」
など、具体的な言葉で相手に伝えられるとよりよいでしょう。
そして、可能な範囲で子どもに理由を伝えてあげるとよいでしょう。
・ちょっとお出かけの準備の分担がうまくいかなくて
・お掃除の担当がなかなか決まらなくて
こういった形ですね。
両親が喧嘩したのは自分に原因があるかもしれない、と思うと子どもは落ち込んでしまいます。
こういった原因があるのだと分かれば安心材料にもなるので、子どもが理解できる範囲で話しましょう。
ただ、原因を話すときに
ママがちゃんと家事してくれないから
パパが○○(子ども)の保育園の準備を手伝ってくれないから
など相手や子どものせいにするような言動は絶対に避けましょう。
まとめ:毎回うまくいかなくても、意識するだけで変わる
こうした方がいい、これはしない方がいいとわかっていても、理想通りにできないことはあります。
ただ、不適切なかかわりがどんな影響を子どもに与えるか知っていれば、そして不適切なかかわりをした後どのようにフォローすればいいのか知っていれば、意識することはできます。
毎回うまくいかなくても、意識するだけで意識していないときとは大きな違いがうまれるはずです。
ぜひ心にとめておいてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。