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「必ず世界を獲る!」と太鼓判を押された男の日本タイトルマッチ

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 所属するワタナベジム、渡辺均会長が「間違いなく世界を獲る逸材」と太鼓判を押す重岡銀次朗。WBOアジアパシフィックミニマム級タイトルを2度防衛し、現在WBOとWBCで3位、WBAが4位、IBFが5位と上位ランカーになった。戦績は目下6戦全勝5KO。

 昨年8月にWBOアジアパシフィックタイトルを返上し、世界タイトル挑戦に標準を絞ったかに見えたが、コロナ禍において、なかなか話がまとまらなかった。外国人選手を日本に呼ぶことは難しく、銀次朗が海を越えることにも様々な障壁があったのだ。

 加えてジムの先輩で、同じ階級でもある谷口将隆が、昨年12月14日に指名挑戦者としてWBO王者、ウィルフレド・メンデスに挑み、キャリア最高のパフォーマンスを演じて新チャンピオンとなる。 

 その際、サウスポーの銀次朗は仮想メンデスとして谷口のスパーリングパートナーを務め上げた。

 銀次朗は逸る気持ちを抑え、自身の課題に向き合っていた。2021年11月下旬、銀次朗は次のように語っていた。

 「早く自分の試合も決まってほしい、世界戦がやりたいという思いもあります。ですが谷口さんは技術があって、適応力が高いので物凄く勉強になるんですよ。チャンスに備えて、自分のレベルを上げるだけですね」

撮影:筆者
撮影:筆者

 その谷口のWBOタイトル初防衛戦が、来る4月22日に決まった。挑戦者は石澤開。両者は2019年9月21日に日本タイトル挑戦者決定戦で拳を交えており、この時は谷口が判定勝ちしている。石澤は今年1月に日本チャンピオンとなり、王座を返上して谷口に挑む。

 そして銀次朗は今月27日に沖縄で、空位となった日本タイトルの決定戦として仲島辰郎とファイトする。

撮影:筆者 昨年、谷口と重ねたスパーリング
撮影:筆者 昨年、谷口と重ねたスパーリング

 銀次朗は言う。

 「もちろん、早く世界戦がやりたいです。でも、去年7月14日以来の試合ですから、リングに上がれることが素直に嬉しいです。仲島選手は背が高いですよね。積極的に仕掛けていきます。正直、自分が負ける要素は無いと思っていますが、あちらも何か策を立ててくるでしょうから迎え撃ちますよ。

 沖縄は高校時代に合宿や試合で何度か訪れていて、好きな地です。いい内容で勝って、沖縄の方にも喜んで頂きたいですね。今、バランスの強化に取り組んでいます。最近、とても調子が良く、どのパンチもパワーアップした気がするんです。色々、試していますが、必ず、KOで勝って次に繋げます。自分が世界を獲れるボクサーであると証明してみせますよ」

 伸び盛りの22歳、銀次朗は、どんな戦いを披露するだろうか。本人の言葉通り、沖縄を熱くさせるファイトを期待したい。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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