今月の住宅ローン金利情報(2020年5月)コロナショックと住宅ローン【5月16日追記】
更新が遅れてしまいましたが、2020年5月の住宅ローンの金利情報です。住宅ローンを新規で借りる人も、すでに借りている人も、金利の動きはこまめにチェックを。新型コロナウイルスで収入が下がり、住宅ローンの返済が厳しくなった人は、必ず延滞前に相談を!
*コラム内の住宅ローン金利は、一般団体信用生命保険(死亡・高度障害時)の保障コストを含む表示で統一しています。
■続・コロナショックと住宅ローン
緊急事態宣言が5月31日まで延長となりました。収入が大きく下がった人にとっては、住宅ローン返済は大きな負担です。
フラット35に関しては、条件に合う人であれば、最長15年間の延長や最長3年間の元金据え置き(利息のみの返済)などが可能です。民間の住宅ローンも、金融機関によっては、返済が苦しくなった人に対して、返済期間を延ばし、当面は利息の返済だけにするなど返済条件の見直しに応じてくれるところもあります。その際に、金利タイプの変更など返済条件を見直す際にかかる手数料(数千円程度)を免除してくれる金融機関もあります。もうだめだ、と追い込まれる前に金融機関に問い合わせ、相談しましょう。
住宅ローンは、延滞をすると延滞損害金がかかるほか、金融機関によっては、金利優遇が受けられなくなることもあります。延滞後に店頭金利が適用になると返済額は大幅アップとなり、返済はさらに苦しくなってしまいます。新型コロナウイルスによる収入減で住宅ローン返済が厳しくなった人は、1回目の延滞をしてしまう前に住宅ローンを借りた金融機関へ相談をすることが重要です!
さて、日銀は4月27日の金融政策決定会合で、3月に続くコロナショック対策として、CP・社債の買入れ枠の拡大や中小企業向け金融支援オペを拡充したほか、長期金利の急上昇を抑える目的で国債の購入枠の上限が撤廃されました。そのため、長期金利の影響を受ける10年固定や全期間固定(35年)は、しばらくは急な金利の上昇はないと考えられます。
ただし、コロナ不況による減収・失業でデフォルト(債務不履行)が増えれば、金融機関は優遇金利を縮小して適用金利を上げてくるか貸出し基準が厳しくなる可能性もあります。また、年収が大きく下がると、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)の関係で借り換えができなくなる可能性もあります。借り換えを予定している人は、早めに実行した方がよいかもしれません。
■2020年5月の住宅ローン金利
今月の住宅ローン金利は、変動金利は変わらず、10年固定(固定金利期間選択型の期間10年)やフラット35、全期間固定(35年)もほぼ変わらずでした。
変動金利:変化なし
10年固定:一部を除いて変わらず
全期間固定(35年):一部を除いて変わらず
気になった点としては、10年固定や全期間固定(35年)で先月と同じ金利だったところが多かったのですが、一部に金利を上げたところがあったこと。上げた金融機関の顔触れを見ると、三菱UFJ銀行やみずほ銀行など都銀系が多い印象です。単に調整的なものなのか、あるいは何らかの方針転換があったのか? 来月以降の動きも気になります。
■「新規で借りる」住宅ローン
以下は、金利タイプごとに金利が低い注目商品をピックアップしたものです。
実際に選ぶ際には、金利だけでなく総返済額で比較して選択するようにしましょう。参考として、保証料と事務手数料ほかの情報も併記しておきます。
<変動金利>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン」0.399%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.399%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。
・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン変動」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
続いて10年固定。三菱UFJ銀行が金利を上げたことで、イオン銀行が戻りました。最低金利は2行が並びます。
<10年固定>
・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン」0.55%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・ソニー銀行「固定セレクト住宅ローン(自己資金10%以上)」0.55%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・イオン銀行「住宅ローン 当初固定金利プラン 手数料定率型」0.62%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・ジャパンネット銀行「住宅ローン」住宅ローン0.62%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.62%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。
フラット35は変更なし。その他の全期間固定(35年)も、一部を除いて変更なしでした。
フラット35の中でも、物件が所定の条件をクリアすれば、0.25%の金利優遇を10年間または5年間受けられるフラット35S(Aプラン、Bプラン)は注目です。
<全期間固定>(自己資金40%以上)
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット6S【自己資金40%以上】」0.85%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.1%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(自己資金20%以上)
・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金20%以上】」0.90%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.16%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット8S【自己資金20%以上】」0.95%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.2%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(自己資金10%以上)
・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金10%以上】」0.96%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.2%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット9S【自己資金10%以上】」1.00%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.35%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
【参照】フラット35の金利表示に注意!
■借り換えるときの住宅ローン
借り換えをする場合の住宅ローンの金利も見ておきましょう。
<変動金利>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン(借り換え)」0.399%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.399%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。
・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン(借り換え)変動」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL(借り換え)<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
続いて10年固定です。最低金利はauじぶん銀行で変わりません。
<10年固定>
・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン(借り換え)固定10年」0.55%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・イオン銀行「住宅ローン 当初固定金利プラン 手数料定率型(借り換え)」0.57%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・ソニー銀行「固定セレクト住宅ローン(借り換え)」0.60%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
借り換えで固定金利を選ぶときには、住宅ローンの残存期間によっても選択の結果は異なります。
<全期間固定>(例:残存30年)
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.10%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(26~30年)1.11~1.61%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット借換 全期間固定(15年~35年)」1.17%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(例:残存20年)
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(16~20年)1.06~1.56%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.10%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット借換 全期間固定(15年~35年)」1.17%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
借り換えの場合は、残っている期間によって、有利な商品が異なりますので、試算を忘れないようにしましょう。
【5月16日追記】
借り換えは通常、今借りている金融機関ではできないのですが、属性のよい(≒信用度の高い)顧客と評価されると、同じ金融機関でより有利な金利の住宅ローンに借り換えることができる場合があります(要交渉)。他の金融機関への借り換えだけでなく、今の金融機関での借り換え(条件変更)も視野に入れて検討を。
■複数の商品を試算して比較を!
注目の住宅ローンとその金利を見てきましたが、ご紹介したのはあくまで金利面のみです。金利が低いことだけが有利な住宅ローンの条件とは限らない場合もあります。
金利を含む総返済額のほか、保証料や事務手数料、団体信用生命のコストも含めたトータルのコストで比較することが大事です。新規で借りる場合も、借り換えの場合も、複数を比較してより有利な商品を選ぶようにしましょう。
「リーマンショック以上」と言われ始めたコロナショック。その影響は、今後、本格的に押し寄せてくると見られています。今は家計のダメージが小さくて済んでいる方も、住宅ローンの借り換えに限らず、家計見直しなど先手を打っておきたいものですね。
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【参照】
FPラウンジ 住宅ローン金利情報
カカクコム 住宅ローン金利情報