EU残留を支持したベッカムはホラ吹き政治家よりエライ!
サッカーの英イングランド代表元主将、デビッド・ベッカム(41)が英国の欧州連合(EU)残留への支持を表明しました。欧州選手権(ユーロ2016)B組で20日、イングランドはスロバキアと0−0で引き分け、1勝2分けの勝ち点5の2位で決勝トーナメント進出を決めた矢先だけに、残留派への大きなアシストになるのは間違いありません。
ベッカムは自身のフェイスブックにこう書き込んでいます。
「私は自分の祖国に情熱を持っています。木曜日の国民投票の結果がどうなろうと、私たちが常に偉大であることに変わりはありません。どちらのサイドも彼らの意見を持つ権利があります。EU国民投票の結果がどちらになろうと双方の主張は尊重されるべきです」
「私は自分のベストの時期を少年時代からの憧れだったマンチェスター・ユナイテッドでプレーしました。私は若き英国のプレーヤーの中核となるグループ、ライアン・ギグスやポール・スコールズ、ニッキー・バット、ネヴィル兄弟(ファーギー・ベイブス、当時のマンU監督アレックス・ファーガソンの雛鳥たち)とともに育ちました。それに加えて、経験を積んだ英国の先輩たち、ガリー・パリスターやスティーブ・ブルース、ポール・インスもいました」
「それだけでも優勝杯に値するメンバーだったかもしれませんが、私たちはさらに素晴らしく、より成功したチームでした。なぜならデンマークのゴール・キーパー、ピーター・シュマイケル(イングランド・プレミアリーグで初優勝したレスター・シティのGKカスター・シュマイケルの父)、アイルランド人ロイ・キーンのリーダーシップ、フランス人エリック・カントナの技術が加わったからです」
「私はまたマドリッドやミラン、パリで欧州や世界からやって来たチームメートとプレーし、その地で暮らす幸運に恵まれました。こうした偉大な欧州の都市とそこの情熱あるサポーターは私や私の家族を歓迎してくれました。そして私たちに彼らのユニークで刺激的な文化や人々との出会いを与えてくれたのです」
「私たちは活気に満ち、つながった世界に生きています。人として団結することで私たちは強くなります。私たちの子供、そして彼らの子供たちのために私たちは手を携えて問題に取り組むべきです。決してひとりではなく。こうした理由から私は残留に投票します」
ベッカムはエライ!と思いました。おそらくPRパーソンと相談してフェイスブックにアップしたと推測します。この書き込みにはわずか5時間の間に11万人がいいね!をして、5245人がシェアしています。ご覧の通り、エントリーでは意見の多様性を認めた上で、郷土愛、祖国愛を強調し、最後に欧州と手を携えて行く大切さを訴えています。
ナショナリズムが燃え上がり、ロシア・フーリガンとイングランド・フーリガンが場内外で壮絶なバトルを繰り広げた欧州選手権でイングランドが決勝進出を決めた翌朝のエントリーと、タイミングも絶妙です。
イングランド・サポーターにはグローバル化とEU統合で一番割を食っている単純労働者が多く含まれています。英国の中央銀行、イングランド銀行の研究では移民の流入によって単純労働者市場の約1割を移民が占め、賃金を2%押し下げたそうです。東欧から来た出稼ぎ労働者が英国で児童手当を申請して自国の家族に送金しているのを目の当たりにしたのも彼らです。
イングランド・サポーターは離脱派の怒りのエンジンと言って良いでしょう。
だからこそベッカムの情報発信には意味があり、残留派キャンペーンの一環として巧妙に計算されていそうな気もします。ベッカムの狙いすましたフリーキックのようなエントリーは、離脱派の致命傷になる可能性があります。先のエントリーで紹介した賭け屋(ブックメーカー)「ウィリアム・ヒル」のオッズでは次第に残留が濃厚になってきています。
5月16日
残留2/7(7ポンド賭けて予想が当たると2ポンドの利益、倍率は1.29倍)
離脱5/2(3.5倍)
5月25日
残留1/7(1.14倍)
離脱9/2(5.5倍)
6月14日
残留4/7(1.57倍)
離脱11/8(2.37倍)
6月19日
残留2/7(1.29倍)
離脱5/2(3.5倍)
6月21日
残留2/9(1.22倍)
離脱3/1(4倍)
(おわり)