Yahoo!ニュース

極寒のアメリカに「爆弾低気圧」襲来 フロリダで28年ぶりの雪も

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

ナイアガラの滝や五大湖が一部凍結し、海岸では凍った波が見られるなど、アメリカやカナダは異例に寒い新年を迎えています。人々は暖を求めガソリンの需要が高まっているため、ガソリン価格も高騰しています。寒さのため、これまでのところアメリカでは12名が死亡したと報道されています。

冷凍庫より寒い

一体どれくらい寒いのでしょうか。

酷寒の天候は年末から続いていますが、先月27日にはアメリカ北部ミネソタ州のインターナショナルフォールズで氷点下38度を観測しました。さらに31日にはニューヨークシティで気温が氷点下13度まで下がり、史上2番目に寒い大晦日となりました。

一般的に家庭用冷凍庫の気温は氷点下18℃といわれていますが、それすらも暖かいと思えるような気温が、各地で記録されています。

(アメリカ本土で記録的な寒さとなったが、通常寒いはずのアラスカ州で記録的に暖かくなった)
(アメリカ本土で記録的な寒さとなったが、通常寒いはずのアラスカ州で記録的に暖かくなった)

爆弾低気圧で大雪

寒さに加え、現地時間3日(水)には南東部で雪が降りました。温暖な気候で有名なフロリダ州タラハシーでも28年ぶりに雪が観測されたほどです。この雪は、南東部を移動している低気圧によるものですが、この低気圧は4日(木)にかけてさらに発達し、北東部に暴風雪をもたらす見込みです。

アメリカ気象局によると、この低気圧は3日(水)夜から4日(木)夜の24時間のうちに、中心気圧が約990hPaから950hPaへと、約40hPaも降下する予想とのことです。一般に24時間で気圧が24hPa以上降下するような低気圧は「爆弾低気圧(英語ではBomb CycloneまたはWeather Bomb)」と呼ばれますが、今回のアメリカ東岸を移動する低気圧も、まさにこれにあたります。

メイン州などでは暴風雪警報が出されており、35センチの大雪と25メートルを超える瞬間風速が予想されています。

なお、爆弾低気圧は金曜日にアメリカから離れる見通しですが、異例の寒さは週末にかけて続くようです。

それでも寒中水泳

こうした寒波の影響で、各地で年中行事が相次いでキャンセルになっています。しかし、どうやらウィスコンシン州では違うようで、元旦恒例の寒中水泳が、氷点下15度の寒さの中予定通り行われました。水着を着た男女が、次々に海に入っていく様子を見ると、さすが北国の人々だと感心させられます。

そういえば昔、ウィスコンシン州出身の友人が面白いジョーク(下)を教えてくれました。このジョークによると、氷点下15度は彼らにとって大した寒さではないようです。

画像
NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

森さやかの最近の記事