コスプレ付カートレンタルのマリカー社のウェブサイトが全面更新されている件
マリオのコスプレでレンタルカートを運転できることで、外国人観光客を中心に人気のマリカー社が、任天堂と争っている件については何回か書いてきました(過去記事1、過去記事2、過去記事3)。
そのマリカー社のウェブサイトをチェックしてみたところ、全面的に書き換わっていました。以前はmaricar.jpというドメインの日本語サイトがあったのですが、それはなくなっており英語サイトのmaricar.comにリダイレクトされます。maricar.comのページ中には日本語サイトへのリンクがありますが、そこをクリックしても結局英語サイトに戻ります。まあ、実際の顧客はほとんど外国人観光客だと思うので英語だけでも問題ないのでしょう。
ウェブ魚拓を見るとわかりますが、過去のサイトにはマリオ等のコスプレをした観光客の写真が載っていましたが、そういう写真はなくなっています。新ウェブサイトで、唯一「マリオ」への言及があるのは、「マリカーはゲーム"マリオカート"の再現ではないので、公道上でレースしたり、バナナの皮や亀を投げないで下さい」という旨の英語の注意書きのみです。
また、コスチュームについては「近所の店で"SuperHero Costume"を購入又はレンタルできる(自分でコスチュームを持ってくるのも可)」という旨の英語の説明がなされています。自店舗でのコスチューム・レンタルはやめたということでしょう。
過去記事で、任天堂の提訴理由は、1)マリカーという社名の使用(不正競争防止法)、2)マリオ等の任天堂キャラクターのコスチュームレンタル(著作権法上の貸与権)、3)ウェブサイトへのコスプレ画像の掲載(著作権法上の公衆送信権、および、不正競争防止法)ではないかと推定しましたが、2)と3)については一応の対策を取ったことが伺えます(それでも過去の行為に対する損害賠償請求の責を負うことはあり得ますが)。ちゃんとした法律専門家のアドバイスの元にやっていることが推測されます。ちなみに、ウェブ魚拓によると旧maricar.jpのページが消えたのは2月25日で、任天堂の提訴に関するプレスリリースの翌日にはもう対策していることがわかります。
もうひとつ気になる点として、ウェブサイト上に”BUSINESS MODEL PATENT PENDING”の記載があります。現時点では、マリカー社による特許公開公報は見つからないので内容はわかりません(特許出願の公開は出願から1.5年後です、別名義で公開されている可能性もゼロではないですが)。コスプレレンタル付きのカートレンタルビジネスというだけでは技術的要素がないので特許化は困難ですが、たとえば、カートに独自の仕組みがあり、そこで特許化を狙って、それを「ビジネスモデル特許」と称している可能性もあります。いずれにせよ、出願が公開されないことには何とも言えません。