クリスティアーノ・ロナウドの新たな可能性
EUROが終わった。不利とされながらも12年前の雪辱に燃え、決勝の舞台に立ったポルトガルのキャプテン、クリスティアーノ・ロナウド(31)。
前半25分、左足を負傷し、涙でピッチを去ったエースが、Vの瞬間までサイドラインからチームメイトを鼓舞し続けた姿が印象的だった。
「いいものを見せてもらった。素晴らしいスピリッツ。クリスティアーノ・ロナウドが抜けて、ポルトガルはチームがひとつになったね。クリスティアーノ・ロナウドの為にも、勝つ、という気持ちが一人ひとりから伝わったよ」(イタリア人記者,リビオ・ミネラ)
クリスティアーノ・ロナウドは、延長後半4分に投入され決勝点を決めたFWのエデルに対し「ウイニングゴールを決めるのは、お前だ」と声をかけて、送り出している。エデルは試合後に「強さ、エネルギー、生命力を注入された」と振り返った。
ミネラ記者は言った。「もちろん、自分がゴールして優勝したかっただろうけれど、サイドラインの彼も本当に美しかった。クリスティアーノ・ロナウドは指導者向きではないと思っていたけれど、監督をやらせてもうまくいくと思うね。ジダンみたいにさ、いや、ジダン以上の可能性があるかもしれない」
私も同感だ。
ミネラとの国際電話を切った後、私の脳裏を過ぎったのは次の一文である。
名声とはまるで靄(もや)のようだ。人気もほんの一瞬に過ぎない。財産は羽が生えたように飛んで消えていく。いつまでも人の心に残るのは、選手の人間性だ。
巨匠デイビッド・ハルバスタムが、『The Breaks Of The Game』の中で綴った言葉だ。
ファイナルのクリスティアーノ・ロナウドに、指導者としての可能性を私も感じる。