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“雨ニモマケズ” 粘投の秋山。江越が勝ち越し3ラン!《6/16 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
16日のウエスタン・中日戦で、左肩の亜脱臼から復帰した陽川選手。

小虎たちが久しぶりに鳴尾浜に戻ってきてウエスタン中日戦が行われた、きのう16日。天気予報はよくなかったものの試合に影響はないと思ったら、しっかり雨になってしまったのです。先発は、このところ晴れた日の登板が続いていて“雨男”は返上したはずの秋山投手。しかし2回の攻撃中に突如、大粒の雨が落ちてきて…すぐ上がるだろうという予想を裏切って延々と降り続きました。

気のせいか阪神の攻撃中は、ちょっと小降りなんですよね。いや気のせいじゃなく3回の裏は本当に雨が上がり、お客様の傘も閉じていました。でも2死になったら再び降り出して、三塁側を見ると秋山投手がキャッチボールを始めていたのです。そのまま強くなったり弱くなったりを繰り返しながら、結局は秋山投手が投げている間は続いた雨。はい、交代した後は降っていません。さすが?ですね。

この日は1軍から梅野選手と江越選手が参戦していて、6回にヒットと3ラン!決勝点を挙げて気持ちよく甲子園へ向かいました。そしてナイターで行われた日本ハム戦、大虎は交流戦を大勝で締めくくっています。そういえば6日と7日に新潟県三条市で行われたファーム交流試合で日本ハムと戦った小虎ですが、その時に表彰された選手3人が揃って1軍に昇格しましたね!6日のヒーロー賞とファン投票で阪神の1位に選ばれた梅野選手は遠征から帰ってすぐに、ファン投票の日本ハム1位だった斎藤佑樹投手は13日、そして7日のヒーロー賞・島本投手は14日に登録。なんて縁起がいいんでしょう。

ちょっと話が逸れました。では16日に鳴尾浜で展開された雨中の決戦、結果と経過をご覧ください。

《ウエスタン公式戦》6月16日

阪神-中日 15回戦 (鳴尾浜)

中日 000 001 001 = 2

阪神 010 030 00X = 4 

◆バッテリー

【阪神】○秋山(3勝1敗)-榎田-S玉置(2敗6S) / 梅野-小宮山(7回~)

【中日】●小熊(1勝3敗)(6回)-八木(1回)-朝倉(1回) / 武山

◆本塁打 江越4号3ラン(小熊)

◆二塁打 横田、ナニータ、野本

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左右:緒方 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .231

2]遊:北條  (2-1-0 / 0-2 / 0 / 0) .241

3]捕:梅野  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .340

〃左:田上  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .240

4]中:江越  (3-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .297

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .260

5]一:中谷  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .295

6]右中:横田 (4-1-1 / 3-0 / 0 / 0) .202

7]三:陽川  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

8]二:森越  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .294

9]指:西田  (2-0-0 / 0-0 / 1 / 0) .185

〃打指:黒瀬 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .193

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山 7回 120球 (6-3-0 / 1-1 / 2.20) 144

榎田 1回 20球 (0-1-1 / 0-0 / 0.59) 139

玉置 1回 18球 (3-0-0 / 1-1 / 4.56) 144

試合経過

先取点は阪神です。2回に江越が左前打、中谷は右前打と同級生の連打で無死一、二塁として横田が一塁線を破るタイムリー二塁打!あまりにも強烈な打球で、ファースト野本と一塁走者の中谷を直撃しそうな勢いでした。なおも無死二塁で、陽川の今季初打席は捕邪飛に倒れるなど、この回は1点止まりです。3回は1死から北條が四球を選ぶも、1回と同じく梅野の二ゴロ併殺打(1回は1死から北條が二ゴロ失策で出塁、梅野は遊ゴロ併殺打)、3人で終了しています。4回は三者凡退、5回は森越の右前打のみ。

一方の秋山は1回、内野ゴロ3つで三者凡退の立ち上がり。2回は先頭の4番・ナニータに左中間二塁打を浴びますが、後続を断って無失点。3回は三者凡退で、4回も2死からナニータに中前打を許しただけです。5回は先頭の野本に右前打され犠打で二塁へ、2死後にピッチャー小熊の右前打で一、三塁となるも、遠藤を遊ゴロに打ち取って0点に抑えます。しかし6回、先頭の友永にピッチャー返しの中前打を浴び、井領の二ゴロで1死一塁となりますが、またしてもナニータに中前打され暴投で二、三塁。続く高橋周の中犠飛でついに追いつかれました。

するとその裏、北條の四球と梅野の左前打で無死一、二塁として4番・江越が、小熊の変化球をレフトへ3ラン!一気に勝ち越します。ただし、まだ無死ながら中谷は右飛、横田と陽川は連続三振で3死。なお7回は三者凡退だった秋山は、120球を投げ6安打3三振で1失点です。7回裏の攻撃は、八木に対して森越と代打・黒瀬が連続三振。そのあと二ゴロ内野安打で出た緒方が北條への5球目でスタート、北條は打って三遊間を抜けていく左前打で2死一、三塁とチャンスを広げましたが、田上は三ゴロで得点なし。

「玉置は苦手、大嫌い」と言わしめる谷選手(左)に適時二塁打を許した玉置投手。
「玉置は苦手、大嫌い」と言わしめる谷選手(左)に適時二塁打を許した玉置投手。

8回は榎田が登板して、友永への死球のみで無失点。その裏は朝倉に対して、こちらも先頭の小宮山が四球を選んだものの中谷は遊ゴロ併殺打、3人で片づけられました。そして9回は玉置がマウンドへ。高橋周を左飛に打ち取ったあと野本に初球の真っすぐを中越え二塁打、続く谷に変化球(スライダー?)をレフトへ…これがフェンス直撃のタイムリー二塁打となりますが、あとは武山と代打の桂を打ち取り、最少失点で試合終了です。

ここ4試合、無四球の秋山

まず先発して7回1失点の秋山投手の談話をご紹介します。よく降ったねえと言ったら「試合ができただけよかったでしょう?」と、さすが雨男さんの言葉です。登板を振り返って「湿気がすごくて、体もヒジも重かったんですけど。決めなきゃいけないところで粘られたとも言えるし、粘りながらなんとか投げられた、という感じでした」とのこと。ナニータ選手に3安打されたことは「湿気が関係するのかもしれませんが、フォークがボール1個分高かったので対応された。他のバッターもファウルされることが多かった」と話しています。

立ち上がりはスムーズでしたね?「はい、珍しく(笑)。きょうはやるべきことを自分の中で整理して、明確にしてゲームに入ることができました。ひとつの、ゲームの入り方としてやっていけるなと思う」

雨の中、7回6安打無四球で1失点と好投した秋山投手。写真は梅雨入り前のものです。
雨の中、7回6安打無四球で1失点と好投した秋山投手。写真は梅雨入り前のものです。

ここ何試合か、しっかりゲームを作れている秋山投手。「たぶん4試合でフォアボールがないんですよ」。先発に戻ってきてからは5月26日のソフトバンク戦(7回)、6月2日のオリックス戦(7回)、9日のソフトバンク戦(6回)、そして16日の中日戦(7回)に投げて、2日に1つ死球があっただけ。確かに4試合27イニング、無四球ですね。「それとゴロアウトが多く、野手の人にも“きわきわで”いい守備をしてもらっているので、テンポよく投げられた結果かなと思います」

1軍は今月末、ローテーションの谷間ができるとかで、秋山投手や島本投手など何人か若手投手の名前が候補に挙がっていますが、それを振られた秋山投手は「きょうに関しては粘られすぎるところもあった。少ない球数でいくこと、粘られても甘くならないようにすることを次の登板でやっていきたいです」という答えでした。

久保投手コーチは「だいぶ腕を振れるようになった。変化球でも変わらずに。カーブは違うけど、スライダーとフォークは真っすぐと同じで腕が緩まず、強いですね。結果も出ていることだし、このまま進んでいけばいい。つかみかけていますよ」と、現段階の内容には合格点という感じです。

陽川、復帰戦でフル出場

2月の沖縄キャンプで左肩を亜脱臼して、そこからリハビリを続けてきた陽川選手が実戦に復帰しました。本隊が遠征中に準備万端だったようで、いきなり7番・サードでフル出場!打席結果は2回に前を打つ横田選手の二塁打で先制し、なおも無死二、三塁の場面で1球ファウルのあとキャッチャーへのファウルフライ。2打席目は5回の先頭でカウント1-2からピッチャーライナー(バットが折れて三塁方向へ)。3打席目は6回、江越選手の3ランのあと2死ランナーなしで0-2からの4球目、変化球に空振り三振。あら、外野に…というかマウンドより先には飛んでいませんね。

この日の陽川選手は3打席。しっかりとスイングもできていました。
この日の陽川選手は3打席。しっかりとスイングもできていました。

試合後に「緊張しました!久しぶりなので、多少。感覚は思ったより悪くなかったです」と陽川選手。「バッティングは、初日なので結果というのは気にせず、どんどん振っていけたのはよかった。これから打席に立っていくうちに対応できてくると思います」。守備機会は2度あり、4回の友永選手と5回の武山選手がサードゴロでした。軽やかにこなしていたのでは?「飛んでくるまでは緊張感があったけど、1球さばけてからはそれなりに守れた」とニッコリ。

動きが軽快で、掛布DCも「下半身がよくなった」と話していたそうですよ。「どうなんですかね。外から見るとそうなのかな。自分では実感ないですけど。ただケガのあと、しっかりトレーニングしたというのが大きいのかも」。上が動かせない間も、下半身のトレーニングはやっていましたからね。「固定具が取れてからも結構、期間があったので」。この前も言っていたけど固定期間が約1ヶ月で、そこからの方が時間を要したものの「固定されている1ヶ月が一番長く感じた」と繰り返しています。

囲み取材を受ける陽川選手。硬い表情はわざとです。撮影が終わったら笑顔でした!
囲み取材を受ける陽川選手。硬い表情はわざとです。撮影が終わったら笑顔でした!

復帰1日目を終え、仲野トレーナーは「初実戦で全部やりました。終わった後も問題はありません。肩を含めて異常なし」と太鼓判。今後の試合出場は監督の采配によるものですが、出るための身体的な状況関して何ら支障はないとのことでした。これで仲野トレーナーのもとからは卒業ですね。陽川選手は「これから1軍に上がるチャンスはまだあると思うので、どんどん結果にこだわっていきたい」と決意を新たにしました。

締めは北條&横田コメント

最後に2人のコメントをご紹介。北條選手は1回、3回と塁に出て、ともに併殺打でアウトになっています。1回はショートの遠藤選手が二塁ベースを踏んで一塁に送球したのですが、その際に滑り込んだ北條選手と接触しました。足を押さえて、しばらく立ち上がれなかった北條選手。右足首の少し上を差して「踏まれました。メッチャ痛いっすよ~。だから次(3回の4-6-3併殺)は、ちょっと…」躊躇したみたいです。自身の守備でいい動きを見せていたし、打撃は相手エラーと2四球、最後に左前打とすべて出塁。「2打数1安打、よっしゃ!」

三振してしまい、何とも寂しげな顔で戻っている横田選手。
三振してしまい、何とも寂しげな顔で戻っている横田選手。

2回に先制のタイムリー二塁打を放った横田選手は「ヒットはいい当たりだったけど、あとがダメです」と不満顔。特に次打席の「同じボール3球…」で空振り三振を喫した4回に猛省の様子でした。しかもあとの2打席も三振。1本打って、3つ三振したらキツイねと言うと「そこなんですよ~」と悔しがります。なんでかなあ。「当たんないんですよ。だから三振なんですよ」。ホームランが見られたら三振しても許す。横田選手なら!そんなファンの方も多い大砲候補です。

なお先週の福岡遠征で腰痛を発症した植田選手は、故障者扱いではないものの別メニューでの練習となっています。現段階では守備と、室内でのバッティング。外での打撃練習は行っていません。もう少し時間がかかりそうですね。焦らずにしっかり治してください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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