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音商標等の新しいタイプの商標が登録され始めた件

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

以前も書いたように今年(2015年)の4月1日から音の商標、色彩のみの商標、動き商標等のいわゆる「新しいタイプの商標」が登録可能になりました。

4月に一番乗りで出願されたこれらの商標が登録され始めた旨のプレスリリースが特許庁から出されています。10月23日までの出願件数は、音:321件、動き:70件、位置:214件、ホログラム:11件、色彩のみ:423件で、今回登録査定が出たものは音:21件、動き:16件、位置:5件、ホログラム:11件、色彩のみ:0件となっています。やはり、色彩のみの商標に独占権を与えるのは市場への影響が大きいので、相当な識別性(消費者がこの色ならあの商品という認識を相当強く持っている)ことが必要とされ、審査に時間がかかる(あるいは拒絶査定となる)ということなんでしょう。

登録された代表的な商標の例が上記プレスリリースに載っています。やはり、音商標はCMでおなじみのものが多いですね。たとえば、伊藤園による「『おーいお茶』という人の音声が聞こえる構成となっており、全体で4秒の長さである」という説明の音の商標も登録査定となりました(別途音源ファイルを特許庁に提出しており、この説明書きだけで登録されたわけではありません、説明書きは検索の際の便宜上です)。

これからも続々と登録が行なわれていくでしょう。ところで、前も書いたように、「新しいタイプの商標」の登録には、市場での販売・宣伝活動の結果としての識別性(セカンダリーミーニング)がほぼ必須なので、「よーしパパ、赤色を独占しちゃうぞ」という訳にはいきませんのでご注意ください(念のため)。

さて、利害関係者でもないのに個々の商標に対してコメントするのはできれば避けたいのですが、ひとつだけどうしても気になるものがあったのでここに書いておきます。エドウィンによる商願2015-30361(登録査定が出たばかりなのでまだ登録番号は割り当てられていません)です。ジーンズのポケット部分に赤タブがあることによる位置商標です。画像では見にくいですが赤タブにEDWINの文字が表されていることが願書に記載されていますので識別性は問題ないと思うのですが、リーバイスの赤タブとの類似性はクリアーできたということなんですね。

商願2015-30361
商願2015-30361
弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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