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ストレスは人を老けさせて、プレッシャーは人を若返らせる現象について

大宮冬洋フリーライター
「誰からも必要とされていない」という孤独の感覚は大きなストレスになる(写真:アフロ)

「自分はここにいていいのだし、たまには役にも立っている」と感じられるか

「若々しい人と一緒にいたいです。実際の年齢はあまり関係ありません。自分の仕事に打ち込んでいて、プライベートも充実している人は目が輝いていて肌艶もいい、と思います」

 筆者はライターとして毎日のように30代40代の中堅社会人に会ってインタビュー取材をしている。恋愛面も含めてどんな人が好きなのか?という質問をすると、女性からは上記のような回答が返ってくることが少なくない。男性はここまで言語化できない人のほうが多いが、実際の恋愛・結婚状況を見ると、相手はやはり若々しい雰囲気(いわゆる若作りではない)の女性であったりする。

 生物としては衰え始めるこの世代から「老け込んでいく人」と「若々しくいる人」がはっきり分かれていく原因はどこにあるのだろうか。社会的動物である人間が根源的に持っている承認欲求が満たされているか否か、だと筆者は取材を通して実感している。

 仕事、家庭、趣味などの場において、「自分は周囲から必要とされている」と感じられることが承認である。華々しい出世や大げさな賞讃でなくても構わない。サービスを提供した同僚や顧客の笑顔だったり、家族の安らいだ表情だったり、友人との和やかな語らいであったり。ちょっとした挨拶やまなざしの中にも、「自分はここにいていいのだし、たまには役にも立っている」と感じられることがある。

 この感覚がまったく持てない人は、年齢を重ねるほどに身も心も荒んでくる。最近、店員に大声でクレームをつけている老人をたまに見かけるが、その姿は群れから追い出されてしまった悲しい動物と重なる。たとえお金と時間がたくさんあったとしても、「誰からも必要とされていない」という孤独の感覚は大きなストレスになる。老け込むのも当然だ。

責任とプレッシャーは人の誇りを目覚めさせ、感覚を鋭敏にさせる

 ストレスとプレッシャーは似て非なる言葉だ。30代半ばを過ぎると様々な場での責任が増していく。もう先輩から守ってもらえる「若者」ではない。むしろ若手のミスや未熟さをフォローしたり叱ったりしなければならず、なおかつ業績などの結果も求められる。それはプレッシャーであることは確かだが、心身を蝕むようなストレスではない。

 自分の判断と努力が他者の喜びや成長に直結している――。責任とプレッシャーは人の誇りを目覚めさせ、感覚を鋭敏にさせる。多少の苦労や挫折を乗り越えられる力も与えてくれる。よほど睡眠時間を削られない限り、忙しさは人を老けさせない。

 職場や家庭、その他の社会的な場において、自分が周囲により良いサービスや影響を与え、必要とされるにはどうしたらいいのか。いつも朗らかに振る舞う、店員に対しても「ありがとう」の言葉を添える、などの小さなことからでも始めればよい。工夫と努力を積み重ねることによって、多くの人から存在を求められる若々しい大人になれるだろう。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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