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HSPは『笑顔うつ』になりやすい?「共通点」に当てはまる人が注意すべきコト

精神科医しょう精神科医/メンタルドクター

こんにちは、精神科医のしょうです。

HSP気質はHighly Sensitive Personと言われ、繊細で敏感、共感性豊かな人々のことを指します。

人一倍繊細な気質を持つHSPの人は、さまざまなことに敏感に反応するため日常生活の中で刺激を受ける機会が多く、他の人よりもストレスを感じてしまいます。

HSPは正式な医学用語ではありませんが、ストレスを溜め続けていると、やがて他の精神病や心の病にかかる可能性があります。

特に、近年増えていると言われている『笑顔うつ』には注意が必要です。

今回は、HSPと笑顔うつの特徴や、HSPの人が微笑みうつ病になりやすい理由について紹介します。

HSPとは

HSPとは、ハイリーセンシティブパーソン(Highly Sensitive Person)の略で、「極めて敏感な人」という意味があります。

繊細な気質を生まれながらに持った人、敏感で感性豊か、傷つきやすく神経質な人のことなんです。

HSPは病気ではなく、人が元々持っている特性や性質といったもので、5人に1人、つまり人口の約20%の人がHSPの気質を持っているといわれています。

HSPに関係する用語で、SPS(Sensory processing sensitivity)というものがあります。

SPSは、中枢神経系の感度の敏感度合いのことを指し、人だけではなくあらゆる動物種においてこのSPSが認められています。

SPSがあることによって、自分を取り巻く脅威から回避し身を守ることができるので、生物にとっては生きるために必要なものといえるでしょう。

このSPSを測定するためのHSPSという問診票があり、SPSの値が特に高い人がHSPに該当するといわれています。

HSPの特徴

・些細な環境の変化に気づき、深く考える

HSPには、「自分を取り巻く些細な環境の変化に気づくことができる」「思慮深く人一倍物事について考える」という特性があります。

他の人が見落としてしまいそうな微妙な変化にも気づくことができ、情報を読み取る力にも長けているので、仕事においても細やかな配慮や対応が得意です。

しかし、HSPの人は無意識のうちに変化に気がついてさまざまな情報を処理しようとするので、疲労を感じやすい傾向があります。

また、気になることがあれば深く掘り下げて詳しく調べ上げるのもHSPの特徴です。

さまざまな観点から起こりうる可能性について考えるので、一人で落ち込んでしまったり、なかなか決断ができずに身動きが取れなくなることが多いです。

・刺激に弱く、敏感に反応する

HSPは目に見えない刺激や物理的な刺激など、「外部からの刺激に弱い」という特徴があります。

光や音、匂いの他にも、味覚や肌に触れる服の素材まで、さまざまな刺激を感じやすいです。

電気が眩しく感じる、テレビの音量が大きいとストレスを感じる、他人の香水や柔軟剤の匂いがきつく感じて体調を崩してしまうという人はHSPの気質を持っている可能性があります。

・他人への共感能力に優れている

HSPの特徴として、「他人への共感能力に優れている」というものがあります。

表情や仕草、声音などから感情を敏感に読み取り、共感することが得意です。

そのため、相手の悩みに寄り添い困っている人がいれば手を差し伸べることができます。

しかし、他人への共感能力に優れているがゆえに、相手の感情に共感しすぎて心を痛めてしまったり、自分のことのように感じて影響を受けてしまうこともあります。

誰かが怒られていると自分のことのように受け止めてしまい、萎縮してしまうこともあるでしょう。

また、映画や本、ドラマ、テレビのニュースなどにも感情移入しやすく、涙もろい点があります。

・些細な刺激に対して過剰に反応する

刺激に対して大きく反応してしまうのもHSPの特徴です。

ちょっとしたことに大きく驚く、些細な言葉に傷つき長く引きずってしまう、悲しいニュースを見て強いショックを受けてしまいふとした時に思い出す、というようなことがあればHSPの可能性が高いでしょう。

このように、物理的な刺激以外にも精神的な刺激にもHSPの人は敏感になってしまいます。

一方で、感受性がとても高いので芸術性の高いものに惹かれ、深く感動できるという面を持っています。

他者とは違う角度から芸術を読み取ろうとするので、作品の背景や作者の感情を理解することに長けています。

笑顔うつとは

笑顔うつは正式病名ではありません。内面ではうつ病のような症状を抱えながらも、会社や人前では笑顔の仮面を付けて普通に過ごすことができる人のことを笑顔うつといいます。

落ち込んだり沈んだ気持ちが続いていても、それを周りに悟られないように笑顔で過ごすため、抱えている症状になかなか気づくことが難しく、本人ですら笑顔うつであることに気づかないケースが多々あります。

笑顔うつは正式な病名ではありませんが、不眠や食欲不振、頭痛や倦怠感などのうつ病の初期段階のような症状を発症している場合があります。

「疲れているだけだろう」と思いこれらの症状を見過ごしてしまうと、重いうつ病へと進行する恐れがあるので早めに受診することが求められます。

笑顔うつの特徴

・外から帰ってきた瞬間、疲労感や虚無感に襲われる

笑顔うつの大きな特徴は、「外では笑顔で過ごせるのに帰宅した瞬間、疲労感や虚無感に襲われる」ことです。

心は疲弊しきっているのに外では無理をして頑張っている状態なので、家に帰った途端、脱力感や虚無感に襲われ何もする気が起きなくなるのです。

仲間や家族はいるけれど、心は常にボロボロで一人になるとひどく落ち込んでしまい、疲労感が抜けない状態が続きます。

・周囲に自分の感情を悟られないようにしてしまう

笑顔うつの人は、周囲の顔色をうかがいすぎるあまり、自分の感情を押し殺してしまう傾向があります。

そのため、気分が落ち込んでいたり体調が悪くても周囲に悟られないように行動しようとします。

また、頼み事を断ることができず快く引き受けてしまうので、後から後悔することも多いのではないでしょうか。

自分の仕事でいっぱいいっぱいでも大変な素振りを見せようとしないので、周りからも余裕があって頼れる人だと見られてしまうこともあります。

・趣味や好きなものへの関心や意欲が薄れる

笑顔うつの人は、社会活動や対人関係に疲れ切ってしまうと自分のことは後回しになってしまいます。

休みの日に趣味を楽しんでいたのに急に意欲がなくなったり、好きだったものに関心がなくなりぼんやりすることが増えているのであれば要注意です。

また、自分に対してのセルフケアをしなくなったというのも危険信号の一つ。

お風呂が面倒臭く感じる、洗濯や掃除をする気力がない、カップ麺やジャンクフードばかり食べている、睡眠時間がバラバラなど、生活が不規則になっていきます。

HSPの人が笑顔うつになりやすい理由

HSPと笑顔うつの共通点として、悩み事を一人で抱え込む、他人の顔色をうかがって気を使いすぎてしまう、空気を読んで相手の意見に合わせてしまうなどがあります。

争いや衝突を好まない傾向があるので、納得がいかないことでもNOと言えず受け入れてしまうこともあるでしょう。

HSPの人は、心優しく穏やかな一面があり、その一方で「自分さえ我慢すればいい」といった自己犠牲の精神がとても強いです。

周囲への配慮をしすぎるあまり、自分自身の感情に蓋をして笑顔のマスクをつけて行動することも多いはずです。

そのため、我慢をし続けていつの間にか笑顔うつになっていたということも起こり得ます。

まとめ

今回はHSPと笑顔うつの特徴や、HSPの人が笑顔うつになりやすい理由などについて紹介しました。

笑顔うつになりやすいと言われている理由は、HSPの人が持つ「繊細で敏感な気質」が関係しています。

HSPさんは刺激に弱く上手にストレスを解消できる人が少ない傾向があるので、刺激を受け続けた結果、笑顔うつなどの心の病にかかってしまう可能性があるのです。

笑顔うつにならないためには、ストレス解消法を見つけること、人との関わり方を変えていくこと、相談しやすい環境に身を置くことが大切になります。

しかし、自分だけで環境や考え方を変えていくのはとても大変ですよね。

そのようなときは悩みが深刻化する前に、専門のカウンセラーなどに相談することをオススメします。

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精神科医/メンタルドクター

HSP気質とメンタルヘルスについて発信している精神科医。精神科外来で診療を行い大学で研究も行っている。instagramのフォロワー7万人以上。著書:頑張り屋さんのための心が晴れる本(KADOKAWA)、新刊:精神科医が教える笑顔うつから抜け出す方法(2023年8月16日発売)。私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。あなたはこんな悩みをお持ちではありませんか?「他人の顔色ばかりみてクタクタ」「自分の意思で生きられない」「いつも後悔ばかりでグルグル一人反省会」こんな他人軸の悩みでクタクタなあなたは、上記の私の名前をクリックして公式ブログから自分軸を目指しましょう♪

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