【内閣支持率下落】数字から見える安倍政権の“3度目危機”
不支持の“深化”
内閣支持率の下落が止まらない。4月7日8日に実施されたJNNの調査によると、内閣支持率は40%で、前回(3月3日4日実施)比で9.3ポイントも減らした。不支持率は9.5ポイント増の58.4%となった。
内閣支持率が不支持率を下回るのは、第2次安倍政権で3度目だ。最初は2015年夏の安全保障法制の時で、その次が昨年の都議選の頃だった。都議選では“小池旋風”のあおりを喰った都議会自民党の獲得議席数は57から23と激減し、歴史的惨敗を記録している。
この年の8月の内閣支持率は39.7%で、不支持率は59%だった。数字を見ると今回とほぼ変わらないが、その内容は大きく異なる。
というのも、この時は「ある程度支持できる」が5.5ポイント下落したものの、「非常に支持できる」が1.9ポイント上昇した。また「あまり支持できない」が4.1ポイント増加したが、「まったく支持できない」が0.6ポイント減少し、下落傾向に緩和が見られる。
ところが今回の場合、「非常に支持できる」が0.7ポイント下落し、「ある程度支持できる」も8.6ポイントも下がった。その一方で「あまり支持できない」が2.6ポイント上昇した上、「まったく支持できない」は6.9ポイントも上がったのだ。
4月9日の夜に公表されたNHKの世論調査も、内閣支持率は6ポイント減の38%で、不支持率は7ポイント増の45%。半年ぶりに支持率が不支持率を下回っている。
政党支持率で見るべきところ
政党支持率も注目すべきだ。NHKの調査によれば自民党が35.4%で、前回比0.9ポイント減少している。またJNNの調査では、自民党の支持率は1.4ポイント増の31.7%。いずれも大きく下落した内閣支持率との差が縮まっていることがわかる。では内閣支持率と自民党支持率が逆転すると、どうなるか。安倍政権は国民の人気を背景に、「政高党低」の運営を進めてきた。しかし、それがなくなれば、党に対する求心力がなくなりかねない。よってこの傾向が続けば、9月の総裁選は困難になることも考えられる。
野党については、野党第1党の立憲民主党の支持率の下落が目立つ。JNNの調査では2.6ポイント、NHKの調査でも1.7ポイント減少させている。その原因として考えられるのは、調査時に週刊文春が報じた山尾志桜里衆議院議員のスキャンダルの続報だ。そもそも相手の弁護士とのスキャンダルの発覚は、昨年の衆議院の解散の引き金になり、野党惨敗の原因のひとつと言われている。そのお相手である弁護士の元妻がちょうど「夫と息子を返して」と訴える手記を週刊文春に寄せていた。その影響は決して小さくはないはずだ。
共同通信の調査では内閣支持率は微増したが…
なお4月1日に共同通信社が公表した全国緊急電話世論調査によれば、内閣支持率は42.4%で前回(3月17日18日)から3.7ポイント回復した。これが支持率低迷に「底を打った」と見なされたが、その内容を見れば、決して楽観できないことがよくわかる。たとえば「(森友学園問題について)安倍首相に責任がある」と答えたのが65%で、前回の66.1%と大差なく、「昭恵夫人の国会招致」についても、依然として60.7%が「必要」と答えている。
安倍政権は2015年と2017年に内閣支持率の低下を経験したが、2度とも見事に跳ね返し、強固な長期政権を作り上げた。今回も同じように跳ね返せるのか。それにはパワーとともに大きな運も引き寄せなければならないが、国会での野党からの追及は強まる一方で、厳しい状況はまだまだ続きそうだ。