【オートバイのあれこれ】「2ストのヤマハ」が生み出したモンスターマシン!
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「“2ストのヤマハ”が生み出したモンスターマシン!」をテーマにお送りします。
「2ストロークのヤマハ」
バイクファンの中には、このセリフを聞いたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
創立して以降、ハイパフォーマンスな2ストマシンとともに歴史を紡いできたヤマハ。
今回は、そんなヤマハがかつて手がけた2スト・モンスターマシンを紹介しましょう。
『YZR750』(0W31)です!
1973年、市販車ベースによるロードレース・フォーミュラ750(F750)が新たに始まることとなり、ヤマハは市販レーサー『TZ750』を開発。
TZ750は’74年にF750レースと同様だったデイトナ200マイルレースでデビュー戦を迎えると、いきなりワン・ツーフィニッシュを飾るという大活躍を見せました。
YZR750はTZ750のワークス仕様(メーカーが直々に製作したレーサー車両)として’75年に初登場し、今回取り上げている0W31はこの初代・0W29に次ぐ2代目のYZR750になります。
0W31は、当時のグランプリ(WGP)マシン『YZR500』(0W23)をベースとする車体に、0W29から受け継いだ水冷2ストロークの並列4気筒エンジンを搭載していました。
ピークパワーは115ps以上と、GP500マシンの0W23をもはるかに上回るパフォーマンスを発揮し、0W31としては2年目のシーズンとなる’77年に早速F750レースで世界チャンピオンを獲得。
さらに翌’78年もF750を制し、またアメリカのデイトナ200マイルレースにおいてもケニー・ロバーツ氏とともに優勝を果たしました。
YZR750はここから0W46へともう一段階進化を遂げ、この0W46では最高160ps&トップスピード300km/hをマークするまでになっていたと言われています。
YZR750は「ヤマハ史上最強の2ストマシン」と言えるでしょうが、’79年にF750レースが廃止されたことを機に生産が終えられ、短期間で消えていくこととなってしまいました。
それにしても、2ストロークのエンジンで、排気量が750cc、しかも並列4気筒というのはかなり珍しいのではないでしょうか。
‘80年代以降のWGPマシンなどでは、500ccのV4エンジンが一般化していきましたが、2スト・ナナハン・インライン4というパワーユニットは、YZR750以外に見たことがありません。
「2ストのヤマハ」だからこそ実現できた、まさに怪物のようなエンジンだったと言えるでしょう。
画像引用元:ヤマハ発動機