「途中で態度が変わった」トルコはフィンランドよりもスウェーデンに圧力
トルコのエルドアン大統領はスウェーデンとフィンランドのNATO加盟に難色を示す態度を崩さない。
特にスウェーデンに対しての批判姿勢が強く、スウェーデン側も当惑している様子が現地から伝わってくる。
23日、スウェーデン公共局の取材で、スウェーデンのアンデション首相はトルコ側から何かしら反応があることは事前に予測しており、フィンランド・スウェーデン・トルコの3か国で対話を続けていると答えた。
「トルコからの最初のシグナルはポジティブだったが、途中から別のものに変わった」とネガティブな態度に豹変したこと、対話にはまだ「時間がかかる」と首相は国民に伝えた。
トルコ在住のスウェーデン公共局の特派員は「エルドアン大統領は強いリーダーとしての存在感を強調することで、現地での選挙に有利につなげようとしている」「トルコはフィンランド加盟に対してはもっと寛容なムード。クルド人民兵組織YPGとの関係が原因で、スウェーデンのほうは問題があるという認識だ」と分析している(参照1、参照2)。
エルドアン大統領の顧問であるIlnur Cevik氏は、スウェーデン公共局に「解決はスウェーデンにかかっている」とも語っている。
スウェーデン議会にクルド系の国会議員がいることも、トルコがスウェーデンにより圧力をかける理由になっていると、フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外務大臣は伝えている(スウェーデン公共局)。
フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外務大臣は「話し合いは数日かかるものと考えていたが、数週間かかりそうだ」と話しており、6月末に開催予定のマドリードでのNATO首脳会議までに3か国の話をまとめたい意向だ(フィンランド公共局)
トルコの態度はフィンランドよりもスウェーデンに対して厳しいというのは北欧メディアでは何度も伝えられている。北欧2か国は予定通りにNATO加盟申請を同時に進められるのか疑問視する声も出ている。
フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外務大臣は「憶測はしたくはない。スウェーデンの事情はフィンランドの事情でもあると私たちは考えている。スウェーデンの問題は私たちの問題でもあり、私たちは共に道を歩む」とフィンランド公共局に話す。
スウェーデン議会にトルコ系議員がいることに対しては「トルコ系であることが、クルド労働者党(PKK)の支援を意味するわけではない」とフィンランド外務大臣はコメントしている。
フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請は北欧2か国だけの問題ではなくなっており、波紋は広がっている。
今回の一件で、クルド人に対する待遇が厳しくなるのではと、北欧各地に住むクルド人が心配する声も伝えられている。
また北欧各国で今後の安全保障を見つめ直し、議論する動きも出ている。