トレードで獲得した選手を数時間後にトレードで放出する。電光石火というよりは三角トレード
12月10日、スペンサー・ホーウィッツは、1日に2度移籍した。まず、2対2のトレードでトロント・ブルージェイズからクリーブランド・ガーディアンズへ。そこから数時間後、3人と交換にガーディアンズからピッツバーグ・パイレーツへ移った。
移籍を経験したのは、今回が初めて(と2度目)だ。2019年のドラフトで、ブルージェイズから24巡目・全体717位指名を受けた。
それぞれのトレードで動いた選手については、こちらで書いた。
◆「3年続けてゴールドグラブの二塁手をトレードで放出する。あと6年も保有できるのに…もったいない!?」
ガーディアンズからすると、この2件のトレードは、三角トレードに近い。ブルージェイズからホーウィッツを獲得する前から、パイレーツと話をつけてあったと思われる。
ホーウィッツは、27歳の内野手だ。一塁と二塁を守り、マイナーリーグではレフトの守備にもついている。メジャーリーグ出場は、2023年の15試合と2024年の97試合。2023年は、AAAの107試合で打率.337と出塁率.450、10本塁打、OPS.945。2024年は、AAAの57試合で打率.335と出塁率.456、4本塁打、OPS.970に続き、メジャーリーグの97試合で打率.265と出塁率.357、12本塁打、OPS.790を記録した。
これらの出塁率――打率と出塁率の差――から窺えるとおり、ホーウィッツは選球眼に優れ、四球を選ぶことができる。また、ホームランを量産しているわけではないが、二塁打は多い。2023年はAAAで30本とメジャーリーグで2本、2024年はAAAで29本とメジャーリーグで19本の二塁打を打った。後者の合計は、50本近い。
パイレーツでは、一塁手の筆頭候補になると思われる。一塁手として105試合に先発出場のラウディ・テレーズは、131試合で打率.243と出塁率.299、13本塁打と18二塁打、OPS.691。パイレーツは、9月下旬にテレーズをDFA→解雇とした(「出来高20万ドルまで4打席の野手がDFAになる。1年前はポストシーズン進出が決まる試合で登板」)。
一方、ガーディアンズの一塁には、31本のホームランを打ったジョシュ・ネイラーがいる。ネイラーもトレードの可能性はゼロではないものの、今のところ、一塁は空いていない。
ちなみに、先月中旬、パイレーツの打撃コーチに就任したマット・ヘイグ――2016年に阪神タイガースで出場31試合――は、ホーウィッツと旧知の間柄だ。それまではブルージェイズにいて、2020~23年はマイナーリーグで打撃コーチ、2024年はメジャーリーグでアシスタント打撃コーチを務めていた。