3年続けてゴールドグラブの二塁手をトレードで放出する。あと6年も保有できるのに…もったいない!?
12月10日、トロント・ブルージェイズとクリーブランド・ガーディアンズは、2対2のトレードを成立させた。ブルージェイズが二塁手のアンドレス・ヒメネスとリリーバーのニック・サンドリンを獲得し、ガーディアンズは内野手のスペンサー・ホーウィッツと外野手のニック・ミッチェルを手に入れた。
ヒメネスは、ここ3シーズンとも、二塁のレギュラーとしてプレーしてきた。サンドリンは、2シーズン続けて60試合以上に登板。どちらのシーズンも、防御率は3.75だ。
ホーウィッツは、メジャーリーグ2年目を終えたところだ。6月初旬にAAAから昇格後、97試合に出場し、打率.265と出塁率.357、12本塁打、OPS.790。一塁と二塁を守った。ミッチェルは、今年のドラフトで4巡目・全体136位指名を受けた。
現在のメジャーリーグにおいて、ヒメネスは、最も守備のうまい二塁手、と言っても過言ではないだろう。3シーズン続けて、ゴールドグラブを受賞しているだけではない。ここ3シーズンのDRSとOAAは、どちらも二塁手トップだ。しかも、ヒメネスの+53と+49に対し、ともに2位のマーカス・シミエン(テキサス・レンジャーズ)は+37と+40。その数値には、かなりの差がある。
ブルージェイズがヒメネスを獲得した事情は、わかりやすい。2024年は、ホーウィッツを含む8人が二塁を守り、二塁手として40試合以上に先発出場の選手はいなかった。ホーウィッツの37試合が最も多かった。
一方、ガーディアンズがヒメネスを放出したのは、もったいない気もする。2025年のシーズン年齢(6月30日時点)は26歳だ。昨年3月に交わした7年1億650万ドル(2023~29年)の延長契約には、2030年の球団オプションがついているので、それを行使すれば、あと6シーズン(2025~30年)は保有できる。
2023~24年の打撃が低調だったことから、今後の5シーズンに計9650万ドル、年平均1930万ドルは高すぎると考えた可能性もあるが、2022年は打率.297と出塁率.371、17本塁打、OPS.837を記録した。年齢からすると、再ブレイクしてもおかしくない。ちなみに、ここ3シーズンの盗塁は、20→30→30と推移している。
ヒメネスを手放した最大の理由は、今年のドラフトで全体1位に指名したトラビス・バザーナにあるのではないだろうか。バザーナは22歳、ポジションはヒメネスと同じ二塁だ。バザーナが台頭するまで、1シーズンか2シーズンはつなぎの二塁手が必要だとしても、ヒメネスの売り時は今、と判断したのかもしれない。打撃不振がさらに続けば、いくら守備が優れていても、トレード・バリューは下がる。
なお、このトレードに続き、ガーディアンズは、獲得したばかりのホーウィッツをピッツバーグ・パイレーツに放出し、若手の投手3人、ルイス・L・オティーズ、ジョシュ・ハートル、マイケル・ケネディを獲得した。
オティーズは、メジャーリーグ3年目の2024年に、リリーフ22登板の49.0イニングで防御率3.49と先発15登板の86.2イニングで防御率3.22を記録した。来シーズンは、ローテーションの一角を占めることが期待される。
あとの2人は、まだメジャーデビューしていない。ハートルは、2024年のドラフト3巡目・全体83位。ケネディは、2022年の4巡目・全体110位だ。