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藤井聡太叡王、タイトル戦17連勝なるか? 伊藤匠七段、対藤井戦で初勝利か? 4月20日、叡王戦第2局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月20日。石川県加賀市「アパホテル&リゾート 佳水郷」において第9期叡王戦五番勝負第1局▲伊藤匠七段(21歳)-△藤井聡太叡王(21歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 第1局は競り合いの末に、107手で藤井叡王が勝ちました。

 藤井叡王(八冠)は続く名人戦七番勝負第2局でも豊島将之九段に勝利。タイトル戦16連勝を達成しています。

 藤井叡王が本局に勝てば、大山康晴15世名人(1923-92)が1961年度から62年度にかけて達成した、タイトル戦17連勝の大記録に並びます。

伊藤七段、対藤井戦初勝利なるか?

 藤井叡王と伊藤七段の対戦成績は、藤井叡王の11勝1持将棋です。

 タイトルを争うトップクラス同士であっても、星が片寄る例はしばしばあります。

 ここまでの藤井-伊藤戦、内容的には一方的というわけではありません。むしろ、伊藤七段の実力の高さ、事前研究の深さが光る場面も多く見られました。伊藤七段が弱いというわけではなく、藤井叡王が強すぎるというべきでしょう。

2023年度最優秀棋士 VS. 優秀棋士

 藤井叡王は昨年度も抜群の成績を残し、4年連続で最優秀棋士賞を受賞しています。

 4月18日におこなわれた表彰式では、次のようにあいさつをしていました。

藤井「このたびは第51回将棋大賞において、最優秀棋士賞をはじめとする賞をいただき、まことにありがとうございます。昨年度を振り返ると、自分自身の実力以上の結果を出すことができた一年だったと感じています。また、印象に残る対局や出来事も多くありました。昨年度の対局でも感じたのですが、最近は戦術の進歩や変化の流れというのが、より一層早くなってきていて、それにどう対応していくか、どう立ち回っていくか、ということが、今後の自分にとっても一つのテーマになるかなというふうにも考えています。今年度も棋士としてよい将棋をお見せできるよう、引き続き、せいいっぱい取り組んできたいと思っています」

 藤井叡王は2023年度、タイトル八冠を制覇。トーナメント制の早指し4棋戦ではすべて決勝に進出し、日本シリーズでは優勝。銀河戦、朝日杯、NHK杯では準優勝という成績を残しています。

 またほとんどトップクラスばかりを相手にしながら、歴代2位の勝率0.852をマーク。7年連続で8割を超え、6回目の勝率1位賞を獲得しました。

 一方で伊藤七段は竜王戦、棋王戦での挑戦、順位戦でのB級2組昇級などの活躍があり、優秀棋士賞を受賞。記録4部門では最多対局賞、最多勝利賞を受賞しました。また「持将棋定跡 (第49期棋王戦五番勝負第1局など)」で升田幸三賞も受賞しています。

 藤井叡王を追いかける、急先鋒の一人である伊藤七段。このあたりで反撃の一勝となるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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