「いきなり!ステーキ」のステーキ提供システム特許が知財高裁で復活
ペッパーフードサービス社による「いきなり!ステーキ」のビジネスの特徴であるステーキ量り売りシステムの特許(5946491号)が昨年の11月に異議申立により取消になった件については既に書きました。
この取消決定を取り消すための訴訟が知財高裁で行なわれていましたが、10月17日に特許庁による取消決定を取り消す、すなわち、特許を有効に残すという判決が出されました(判決文、要旨)。
本特許の請求項1の内容は以下のとおりです(異議申立における訂正請求の結果を反映済)。
異議申立では、札,計量機及びシール(印し)という特定の物品を使ってはいても、全体としては特許法上の発明(技術的思想の創作(=技術的アイデア))に該当しないとされたわけですが、知財高裁は以下のように判示しました。
ちょっと違和感があるというか特許庁の審査実務から乖離しているのではないかという印象です。明らかに人為的取り決めに関するアイデアであっても、たとえば「結果をメモ用紙に書くステップ」を足せば、メモ用紙という物品が課題解決に貢献しているということで、発明該当性はクリアーできてしまうのでしょうか?(弁理士という立場的にはある意味朗報ですが)
なお、注意したいのは、この裁判で問題になっているのは発明該当性のみである点です。進歩性・新規性は問題とされていません(元々の異議申立の申立理由がそうであったためです)。異議申立が可能な期間は過ぎていますが、今後、無効審判で、本特許の出願日前から同等の行為が行なわれていたことを立証すること等により進歩性・新規性について争うことは可能です(なお、無効審判は利害関係者しか請求できません)。
また、特許権を侵害するのは、請求項に記載された構成要素をすべて実施した場合だけなので、ステーキの量り売り商売をやれば必ずこの特許権を侵害するというわけではありません。