コロナ禍でリモートワークや在宅学習など、生活スタイルが変化した人は少なくないと思います。その変化にようやく慣れたと思った頃に、コロナ禍が収束の兆しを見せたことからリアルイベントや人との交流が復活。仕事や生活に再びの変化が訪れたことで、その変化の波に対応できず、睡眠にも支障をきたしているという声をよく耳にします。これまでオンライン上だった人的交流が、対面になったことで、気づかないうちに精神的に大きな負担になっているのかもしれません。

この「うまく眠れない」という症状を放置しておくと、次第に心まで疲弊してしまうため、心地よい睡眠がとれるように対策を考えることが大切です。

そのポイントとなるのは、スムースな入眠を促すための“入眠準備”。具体的には、照明・体温調整・食事の３つの工夫になります。

まず、眠る前の“照明”ですが、これは就寝前は青みがかった昼光色や白い昼白色ではなく、オレンジ色の電球色を活用することにあります。そもそも、電気や電灯が普及する前は、人間は日の出とともに起きて、日の入りとともに就寝するという生活スタイルが一般的であり、その生活スタイルを何百万年も踏襲していたわけで、“夜間に蛍光灯の下で過ごす”というのは人間にとっては不自然な状況にあるのかもしれません。

したがって、夜間につける照明はなるべく電球色に変えることが望ましく、かつ、入眠準備を考えると、それほど明るくないほうが好ましいといえます。たとえば、天井照明は使わず、複数の間接照明や部分照明だけを使い、柔らかく優しい光に包まれながら夜を過ごすというのも一案です。この時、ライトは人には当てず、壁や床、天井などを照らすように工夫すると、落ち着きのある空間を演出できます。

“体温調整”では、入眠前の浴槽浴が最適です。というのも、人の体は身体の奥の体温が下がることで眠気が起こるため（空調が利いている部屋で眠くなるのはそのため）、浴槽浴で体内深部の温度を一時的に上げると、就寝時までに体内の温度変化が起こり、眠気が促されるからです。

浴槽浴をする際はリラックスを促すために入浴剤を活用するのがおすすめ。お湯が白濁する入浴剤を活用して、視覚的にも気持ちを休めたり、眠りをコンセプトにした入浴剤を活用すると、より入眠しやすくなるでしょう。

また、深部体温の変化は“食事”にも左右されます。食事を就寝前にとると、胃腸が活性化するため体内温度が下がりにくくなり、眠りが浅くなる傾向があります。したがって、夕食は入眠3時間以上前に終わらせるのが理想的。0時前後に就寝するのであれば、21時までには夕食を済ますよう心がけましょう。

もちろん、残業などにより夕食が遅くなってしまう場合もあるかもしれませんが、たとえば、21時を過ぎるようであればその前に食事休憩をとったり、深夜になるのであればスープのような軽めの食事を摂るなど、生活スタイルによって工夫するのがコツです。

以上の照明・体温調整・食事の３つの入眠準備を紹介しましたが、アロマ好きなら“香り”を活用した方法も試してみてはいかがでしょうか。

枕元に香りづけをする“ピローミスト”といったアロマ商品がありますが、最近では睡眠と香りの関係を科学的にとらえ、睡眠の質を向上させる機能的なアロマ成分を配合したピローミストが登場しました。単に気分をリラックスさせるだけでなく、入眠へといざなう、睡眠ケアができるピローミストが誕生したのは驚きです。　

このように入眠準備は多方面からアプローチしてみるのがおすすめ。もちろん、すべてをとりいれる必要はありません。まずは安眠のためにできることからはじめてみましょう。