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ソフトボール・ジャパン、千葉での世界選手権へ好発進

楊順行スポーツライター
SOFT JAPAN(日本代表の愛称)が広報カーを囲む(撮影・筆者)

 あの「上野の413球」の感動が帰ってくるか。

 08年、上野由岐子の超人的な投球で金メダルを獲得した北京オリンピックを最後に、五輪種目から除外された女子ソフトボール。だが、懸命な復帰活動が実り、20年東京五輪で正式競技として実施される。それまであと2年。五輪除外期間では最高峰のイベント・世界選手権が、8月から千葉県の4市で行われる。日本での開催は、1998年の静岡・富士宮市以来20年ぶりだ。

 日本最大のライバルは、いうまでもなくアメリカ。ここ6大会続けて決勝で対戦し、02、06、10年はアメリカが優勝。12年に42年ぶりの金メダルを手にした日本は14年も連覇したが、前回16年大会はアメリカが女王の座を奪い返した。次回からはワールドカップに衣替えする予定のため、世界選手権としては最後になる今年の大会は、16カ国が参加する五輪前の世界一決定戦だ。

2020東京前の世界一決定戦

 20日からは、その小手調べともいうべき日米対抗が行われている。アメリカはモニカ・アボットなど超一線級が出場していないが、日本はすでに3戦中2勝し、勝ち越しを決めた。まず初戦は、先発した上野が4回を3安打6三振の無失点で貫禄を示し、打線も初回、山本優の2ランなどで先制。藤田倭らの継投も決まり、4対0で快勝した。上野は、「もう08年のときのような投球はできません」というが、110キロを超すスピードは健在。さらに「あれから10年で培ってきたものがある。ピッチング自体も進化しています」と、チェンジアップなどの変化球も制球よく決めた。

 また、昨年の日米対抗でも逆転満塁サヨナラ本塁打を記録している山本は、宇津木麗華ヘッドコーチ期待の四番。「男性は速さだけではなく、球の重さも海外の投手に近いから」(宇津木HC)と、直前の練習で男性を打撃投手に打ち込んだ成果が出た格好だ。第2戦は、前回世界選手権の決勝でも先発した浜村ゆかりから藤田などに継投し、打っては5回1死二、三塁で山崎早紀が決勝2点打。「長打だけではなく守備もよく、足が速くて雰囲気がある」と、宇津木HCが2季ぶりに代表に抜擢した期待に応えた。

「東京五輪まであと2年。まだまだやれることはあります」

 と山崎。その前に、まずは前哨戦ともいえる世界選手権へ向け、幸先のいいスタートとなった。日米対抗は今日23日、最終第3戦が行われる。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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